中学・高校生活は悩みもつきません。「心がつらい、苦しい」と感じること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた悩みに答えてもらいました。

【お悩み】LINEだと父親の言葉遣いが荒くなる

私の父親はLINEの中だと言葉が荒っぽくなったり、対面では言えないようなことを言ったりします。

例えば、家族のグループLINEで「今日買い物に行きたい」と相談すると「自分勝手すぎでしょ、ばかなの?」と返ってきました。「今すぐ」買い物に行くと伝えたわけではないし、買い物場所は近所です。こうした言葉遣いは、LINE内での「いつもの父の様子」なので、私は軽くスタンプで返信しました。

また、日中の会話について、なぜかわざわざ夜中に「は? 知らないんだけど。説明しろ」と送られてきて、家族全員でスルー。その後送信取り消しになっていました。

父親のLINE文面が荒っぽい(写真はイメージ)

対面ではこのような言葉をかけられません。LINEだと思ったことをよく考えずに文章にして送ってしまうのだと思います。今の小中学生はネットやチャットの使い方などの教育を受けていますが、親の世代はそうではないからでしょうか。母は父のLINEに対して、諦め、あきれているって感じです。母やきょうだいと一緒に常に愚痴を言っています。

父にこのような言葉遣いをしないよう言いたいのですが、その勇気もありません。どうしたらいいでしょうか。(とまと・高校1年女子)

SNS上のトラブルは多い

最近の相談でもSNS上のコミュニケーションにおいて、トラブルが起こることはよく耳にします。相手の顔が見えないことで不適切な言葉遣いになってしまうこと、言葉が足りないことで友達同士であっても誤解が生じることなど、さまざまな要因があるようです。

言葉が足りず、誤解が生じることも…

とまとさんのお話にもあるように、近年は適切なSNS利用ができるようになるために、授業としてSNSを利用する上でのルールを学ぶ学校が多くなりました。今回はご家族同士のSNS上の言葉遣いに支障が生じていますね。こういった「言葉遣いの不適切さ」について、どのようにすると良いのでしょうか。

「無言」によって気付いてもらう

どのようにすると良いかについて、さまざまな意見があると思います。今後もお父さんがLINE上で不適切な言葉遣いをするようであれば、現状のようにご家族は「スルーをすること」が必要だと私は思います。

もし質問されたことにその場で答えなければいけない用件でしたら、最低限の言葉で伝えましょう。お父さんには「不適切な言葉遣いは家族でも受け入れられないこと」を、ご家族からの無言によって気付いていただくとよいのではないかと思います。

対面でのコミュニケーション不足

話が少しズレますが、普段、とまとさんのお父さんはご家族とどの程度、対面でコミュニケーションを取っていますか? どうやら対面では言えないことを、LINEで言っているようですので、普段もあまりコミュニケーションが取れていない印象を受けました。

父親とのコミュニケーションを見直して(写真はイメージ)

SNS上でコミュニケーションに行き違いが生じたという相談の際、普段から対面であまり話ができていなかったり、一方の方はコミュニケーションが元々得意ではなく、思っていることが言えていなかったりすることが多い印象があります。

言葉選びの達人目指して

相談内容にあったお父さんのLINEを見て気付かれた方も多いと思うのですが、普段、お父さんが対面でご家族に思っていても言えないことが、LINE上で見え隠れしているように思います。

そう考えると、とまとさんのお父さんはLINE上の言葉遣いを直すだけでなく、普段からご家族とお話をして、思っていることを伝える必要がありそうです。そして、お父さんの言葉遣いが不適切であることは、ご両親で話し合って改善させることだと思います。

もし、とまとさんに一つお願いするとしたら、とまとさんは「だれもが分かりやすい、気持ちよく受け取れる言葉」をSNSでも対面でも、誰に対しても使うように心がけてもらいたいと思います。とまとさんのより良い人間関係のために、言葉選びの達人を目指してください。

 

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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