今年で11回目を迎えたお弁当甲子園(主催:鎌倉女子大学)。今回は全国362の高校から9,651作品の応募があり、校数・作品数ともに過去最多となった。最終審査会の結果、上位に入賞した作品を紹介する。
最優秀賞 中村 天さん(三重県立相可高等学校2年)
「宮川が大好きなおじさん」へ 「地元を感じる弁当」
おじさん、この夏は三重に帰ってこれそうですか?私は綺麗な川と青々とした木々や田畑に囲まれた宮川で、夢に向かってお菓子の勉強に励んでいます。今朝父が釣ってきてくれた鮎を、塩焼きにしました。宮川の清流は今年も川面を反射する光が眩しく、橋の上からでも生き生きと泳ぐ魚が見えますよ。お弁当のトマトやお米は、おばあちゃんが首からタオルをかけて度々汗を拭きながら収穫してくれました。ブロッコリーのサラダは、宮川の名産品、柚ドレッシングで調味し、夏らしくさっぱり仕上げました。おじさんが大好きな宮川を感じて貰えるよう作ったお弁当です。まだまだ暑い日とコロナの感染拡大が続きますが、宮川の幸で一緒に乗り越えましょう!

【受賞者コメント】
この度は、最優秀賞を受賞することが出来て、とても嬉しく思います。地域の食材をどう活かすか、どうすれば地域の魅力が伝わるかなど沢山試行錯誤して作ったお弁当でしたので、受賞したことを知ったときは嬉しさのあまり思わず声を上げてしまいました。今回の受賞を通して、私の住む地域の魅力を全国の方々に発信できたことをとても誇りに思っています。私は料理が好きで、毎日のお弁当も自分で作っています。コロナでなかなか地元に帰って来られない叔父さんを、自分の得意な料理で喜ばせたいなと思い、コンテストに参加させていただきました。お弁当は、蓋を開けたときの第一印象がとても重要です。人に渡すお弁当は、自分で食べるお弁当とは違い、詰め方や盛り付けを大切にする必要があります。食材の魅力を最大限に引き出し、目でも楽しめ、食欲をそそるお弁当にできるよう、こだわりました。また、相手を大切に思う気持ちは、言葉以外にも伝える手段があることを学びました。
特別審査員賞 山口 未来也さん(京都府立綾部高等学校2年)
「家族」へ 「いつもありがとう弁当」
このお弁当は僕の一番思い出に残っているお弁当です。このお弁当は僕が保育園児だった頃に父と母と姉と僕の4人で滋賀県の山の上にある公園の芝で、琵琶湖を見ながら食べたお弁当の中に入っていたものを詰め合わせたものです。特に思い出に残っている献立はマカロニサラダです。僕がマカロニを口にくわえて「ピーピー」と笛のような音を鳴らすと、それがおもしろくて家族みんなで笛を鳴らしていました。最近は姉が一人暮らしを始めたり、僕は部活が忙しくてなかなか休日にみんなでお出かけにいけなくなったけど、タイミングが合えばまたどこかへみんなで出かけたいなと思ってます。

【受賞者コメント】
自分の作ったお弁当が賞に選ばれてとても嬉しいです。普段は全く料理をしないので、これを機に料理に挑戦しようと思い取り組みました。このお弁当は僕が一番思い出に残っているお弁当で、小さい頃に食べたのですが、とても鮮明に覚えています。このお弁当を通して家族に感謝を伝えることができるといいなと思い作りました。自分は普段料理をしないので、このお弁当を作るだけでも難しいことがたくさんありました。でもこの難しさを知ったので、いつもお母さんが作ってくれているご飯はいつも以上に感謝して食べようと思いました。
特別審査員賞 奥 祐貴さん(京都府立亀岡高等学校1年)
「中学の部活の後輩」へ 「部活お疲れ様!弁当」
自分が中学生の時に所属していた男子バレーボール部が今年度をもって廃部になりました。この弁当は男子バレーボール部最後の1人として活動していた後輩に向けて作りました。その後輩は同学年の仲間がいない中でも、積極的に部活をがんばってくれました。自分の代の部員が自分を含め5人だったのに対し、バレーボールは6人制で1人足りなかったので、後輩がいてくれたおかげで最後の大会に出場できたのでとても感謝しています。そんな後輩も今年の7月に最後の大会を迎えました。観戦はできませんでしたが、1勝することができたらしいです。食べ物の好みは知らなかったので、弁当は栄養バランスを意識しました。後輩へ、「部活お疲れ様!」

【受賞者コメント】
私は普段ほとんど料理をしないので、このお弁当を作ったときは賞のことは全く考えていませんでした。なので、受賞したことを知ったときはとても驚きました。そしてこの感想を書いている今現在ですらまだ実感があまりありません。でも、この賞をいただけたことはとても光栄に思います。お弁当のメッセージで書いた一人の後輩は今受験生なので最近会えていませんが、受験が終わったら賞をいただいたことと改めて部活を頑張ってくれたことへの感謝を伝えたいと思います。今回は学校の夏休み課題としてお弁当を作りました。最初は正直あまり乗り気ではありませんでしたが、せっかくやるのなら精一杯やろうと思い、「何を入れたら喜んでくれるか」、「どのような味付けがいいか」などを考えながら作りました。料理をあまりしていなかった自分にとっては大変なことだらけで、作り終わったときはとても疲れていました。そのときに普段料理を作ってくれている親や祖母の苦労が分かったので、料理を作ってくれていることに今まで以上に感謝しようと思いました。
優秀賞 下川 己撞さん(東京都・目黒日本大学高等学校1年)
「宝くじを買う母」へ 「絶対当たる!開運弁当」
うれしそうに宝くじを買い開封するも当たりは毎度300円のみ。落ちこむ母を元気付けるために考えたのが、この「絶対当たる!開運弁当」です。食材に縁起の良い、赤色を取り入れるためトマトとエビを使い、旬の食材を使うことも運気を上昇させると知ったので、枝豆とたけのこを入れました。特に工夫したのは卵焼きです。型を使い楕円形に形を変え、海苔で模様を作り小判を再現しました。他にも箸や旗などのいたる所に要素を詰め込んだこの弁当。バランスや配色にも気を遣っているため、一石二鳥ならぬ、一石二兆も狙えます!この弁当で宝くじが当たらないはずがありません。さっそく母にこれをプレゼントしてきます!
【受賞者コメント】
優秀賞に選出していただきありがとうございます。このお弁当を作った時には、僕が作った物は果たして自信を持ってコンテストに出せる物なのか?宝くじ一等は求めすぎなのではないか?などと沢山の葛藤はありましたが、お弁当そのものを評価してして頂けたので嬉しい気持ちでいっぱいです!宝くじは一円たりとも当たりませんでしたが、受賞によって手に入る賞金を母に贈ることが出来るので、その賞金で次こそは1等当てて欲しいなと思います。昨年の受賞者の方々が作ったお弁当を見て、自分もオリジナリティの溢れるものを作りたいと思いました。そこで僕は今回、お弁当を作った後のことについて目を向けてみました。お弁当を食べた後にさらに何かサプライズが有れば究極のお弁当になるのでは?と考えた僕は、母にあげたときに一番喜ばれるものは何か、と考えを進めていき、結果このお弁当にたどり着きました。
優秀賞 小松 学叶さん(群馬県立高崎高等学校1年)
「私」へ 「勝利の腸活弁当」
私は、どうやら母親似のようだ。見た目うんぬんよりも体内がである。父は毎朝、見事なまでの快便である。しかし、私は物心ついた頃からの便秘だ。一人っ子の私と父は友達のような関係で、運動や勉強など事あるごとに競い合いコミュニケーションを取っている。くだらないとは分かっているものの健康のバロメーターである排便に関しても競い合うが、完敗である。そこで私は考えた…。父と違う物を食べる昼食(弁当)で腸内環境に差をつけよう作戦だ。水溶性食物繊維の多い十六穀米。不溶性食物繊維のきのこ、玉ねぎ。腸内の善玉菌を増やす塩こうじ。腸が変われば身体が変わる!これで父から勝利を勝ちとりたい。

【受賞者コメント】
私には無縁と思われていた甲子園というキーワードが、まさかお弁当甲子園にヒットするとは思いませんでした。弁当作り初挑戦。そして優秀賞受賞という華々しいデビューを飾ることができて、大変うれしく思っています。今回のお弁当のテーマは腸活ということもあり、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維発酵食品である塩こうじを使ったメニューをネットで検索し、短時間でできるおかず作りにしました。しかし、父との快便レースは相変わらず負け続けています。父との共通の趣味である魚釣りで釣ってきた魚を捌くことはあるものの、弁当作りは経験になかったので、あの限られた箱の中に数種類のおかずを作るのが大変でした。といっても普段は母親任せなのでたまには自分でも作りたいと思います。
優秀賞 池浦 歩さん(奈良県・奈良女子大学附属中等教育学校4年)
「志賀直哉先生」へ 「奈良のうまいもん弁当」
奈良の風土を愛しつつも「食いものはうまい物のない所だ」と書いた昭和の文豪、志賀直哉先生に贈りたい、奈良の美味しいものを詰めたお弁当です。とにかく「奈良の良さを伝える」ということを意識して、使った食材は全て奈良県産です。奈良で育ったひのひかり米、地鶏の大和肉鶏のほか、大和三尺きゅうりやひもとうがらしなどの大和野菜も詰め込みました。このテーマを選んだきっかけは、学校の近くに先生の旧邸があるのを知ったことでした。調べてみると「奈良にうまいもんなし」という言葉が独り歩きしており、名誉挽回したいと思いこのお弁当を作りました。奈良にだって美味しいものはあるんだ!と大勢の方に知ってもらえたら嬉しいです。

【受賞者コメント】
今回このような大きな賞を頂き、驚くと共にとても栄光に思っています。このお弁当をきっかけに、奈良の楽しさ、奥深さを知って頂けたら何より嬉しく思います。お弁当を作るにあたり一品一品に手間がかかっていることが改めてよくわかり、朝の短い時間で何品ものおかずを仕上げる母の偉大さを再認識しました。また、「おかずを弁当箱に詰める」という工程は調理に比べればずっと楽だと思っていたのですが、実際にやってみると、色のバランスやかさの高さを考えて組み合わせるのにもかなりコツが要るのだと気付きました。ようやくコロナ禍が落ち着いてきた今年の秋は、観光や修学旅行で奈良を訪れる方も多いと思います。もし時間に余裕があるなら、有名な観光スポットから少しだけ足を伸ばしてみませんか。ぜひ一度、志賀先生の愛した「ならまち」を訪れてみてください。
優秀賞 山内 杏介さん(静岡県・浜松学院高等学校1年)
「姉」へ 「めでたい!弁当」
私の姉が結婚するということを聞き、これはめでたいと思い、このお弁当を作りました。小さい頃、姉とは、ほぼ毎日喧嘩をしていて最近になってお互い喧嘩も減ってきて、そんな姉が結婚すると聞いて、私も姉も大人になったなと思いました。なので、今回のお弁当は日頃の感謝も込めて作りました。姉の好きなちらし寿司を作りました。そこに、めで鯛ということで、鯛を作りました。姉は映えるものが好きなので、色とりどりにしてみました。姉の大好物のかぼちゃとひき肉の煮物を入れました。これからも姉には幸せになって欲しいと思います。

【受賞者コメント】
先生から受賞したと聞いたときは本当に驚きとうれしさが一緒にきました。テーマが決まったときは、賞がとれるといいなと心の隅で思っていましたが、本当に入賞できると思っていませんでした。姉が結婚すると言っていたので、「めでたい」と思い、お祝い弁当を作りたいと思いました。ぜひ二人で食べてほしいと思い同じものを二つ作りました。料理を作っている時、姉と姉の旦那さんが喜んでいる顔が想像でき、うれしくなりながらお弁当を作っていました。試行錯誤しながら頑張って作った甲斐がありました。姉の好きなものなどを工夫して入れ、メニューを変えたりして作っていくうちに、相手を思って作るのが大切だということに気が付きました。デコ弁だったけど、食材を無駄にしないように工夫しました。このような機会をいただき色々な事を学べました。携わってくれたすべての皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
*表彰式の模様はこちらからご覧いただけます。
第11回お弁当甲子園入賞者
- 【最優秀賞】
- 中村 天(三重県立相可高等学校2年)
- 【特別審査員賞】
- 山口 未来也(京都府立綾部高等学校2年)
- 奥 祐貴(京都府立亀岡高等学校1年)
- 【優秀賞】
- 下川 己撞(東京都・目黒日本大学高等学校1年)
- 小松 学叶(群馬県立高崎高等学校1年)
池浦 歩(奈良県・奈良女子大学附属中等教育学校4年)
山内 杏介(静岡県・浜松学院高等学校1年) - 【入選】
- 栗田 紗希(東京都・目黒日本大学高等学校2年)
- 林 海音(大阪府・大阪教育大学附属高等学校 平野校舎2年)
- 木村 翔哉(大阪府・大阪教育大学附属高等学校 平野校舎2年)
安座間 理音(沖縄県・昭和薬科大学附属高等学校2年) - 塩谷 神温(群馬県立沼田高等学校1年)
小関 愛心(山形県・日本大学山形高等学校2年)
鈴木 日優(山形県・日本大学山形高等学校2年)
橋本 京花(山形県・日本大学山形高等学校2年)
黒田 想乃(愛媛県立松山北高等学校2年)
酒井 爽晴(北海道・立命館慶祥高等学校2年) - 【佳作】
- 南保 一葉(東京都・目黒日本大学高等学校2年)
松井 涼馬(富山県・高岡龍谷高等学校3年)
池上 陽菜(神奈川県・カリタス女子高等学校1年)
渡部 凜(福島県立会津工業高等学校3年)
小林 亜美(山梨県立上野原高等学校1年)
牧野 瑠香(山梨県立上野原高等学校1年)
鈴木 拓翔(千葉県・東京学館船橋高等学校1年) - 中川 真奈美(岡山県・倉敷翠松高等学校1年)
- 梁本 真優(東京都・かえつ有明高等学校2年)
- 堀田 優月(愛知県立岩津高等学校2年)
- 佐藤 そよ(福島県立福島西高等学校1年)
- 竹田 彩乃(大阪府立清水谷高等学校2年)
- 安川 胡桃美(東京都・三輪田学園高等学校2年)
- 田川 幸絵(東京都立目黒高等学校3年)
- 渡部 文花(京都府立綾部高等学校2年)
- 【学校賞】
- 愛知県立春日井高等学校
東京都・目黒日本大学高等学校 - 大阪府立清水谷高等学校
- 【鎌倉女子大学賞】
- 神奈川県・湘南学院高等学校
- 群馬県立高崎高等学校
- 山形県・日本大学山形高等学校