優秀賞

誰もが住みやすい街にするために
目の見えない友達に教えてもらったこと

普連土学園中学校 2 年 山田 桜來

学校の課題の地域研究で、私は全盲の友人にとっての、私達の最寄り駅の利便性と不便な点を調べた。白杖の友人と一緒に歩いてみるとこれまで気付かなかった課題がたくさん見つかったのだが、その中に一つ命に関わる問題点があった。それは、駅の改札階から点字ブロックの誘導に従ってホームに階段を下ると、グリーン車の停車位置に到着する、ということだ。誘導の点字ブロックはその停車位置で終わってしまい、そこからはホームの端にある、「超えると危険」の警告の点字ブロックが敷かれているのみである。だから、視覚障害者の方は普通車に乗るために、その警告の点字ブロックだけを頼りにホーム上を移動しなければならない。しかしそれは「欄干の無い橋を渡るようなものだ」と言われる程に危険である。過去に転落事故も何度も起きている。友人が再来年度には電車通学を予定していると知って、出来るだけ早く普通車の乗車口まで誘導の点字ブロックを敷設してほしいと強く思い、駅に要望を出した。

友人と最寄り駅の検証をして以来、出かける度に点字ブロックの敷設に目が行くようになった。点字ブロック発祥の地である日本でも、必要だと思われるところに敷設がないところや、あっても十分ではないところなど、課題がたくさんあることに気づく。

その後、友人が英語好きということもあって、他の国ではどうなっているのか興味を持ち、インターネット上の地図や写真で調べてみた。いわゆる先進国の大都市の状況をいくつか調べてみたところ、日本と同じように敷設されている都市もあれば、景観維持のために敷設されていない都市や、滑り止めと勘違いされるような所もあるようだった。

私は全盲の友人との関りを通して様々な事を知った。視覚障害者の方が生活で困ること、生活を便利にするための道具、一緒に出来る娯楽や一緒に過ごすための工夫など、多岐に渡る。彼女と文通したくて、点字も打ったり読んだりできるようにもなった。彼女と友達になる前には全く知らなかったちょっとした異文化を知ると視野が広がるし、その世界を垣間見ることができて嬉しく思う。そんな彼女と地球を旅したら、見える景色が二倍になりそうだ。

私は、今はまだ知らない様々な立場の人々の世界に触れていきたい。そして、身体上の特性や国籍に関係なく、誰もが住みやすい街を作っていきたい。私の力で変えられることは少ないとは思う。それでも、様々なことを知ろうとし、小さくても行動に変えることが大切だと思う。最寄り駅の点字ブロックの敷設は、小さなことかもしれないが、実現できるまで頑張りたい。そして、友人を含む視覚障害者の方にとって使いやすい駅の実現を期待している。

一人一人が小さな行動を起こしていくことで誰もが住みやすい街が世界中に増えていくと思う。