「創作活動って興味はあるけど、何をしたら良いかわからない…」そんな方に必見!創作活動をするにあたってのポイントを、第25回全国高校生創作コンテスト現代詩の部の受賞者に伺った。
現代詩の部 受賞者インタビュー
最優秀賞 久留米大学附設高等学校 浜田 桃実さん

―このコンテストに応募しようと思った理由を教えてください
部活動の顧問の先生がこのコンテストを紹介してくださったのがきっかけです。
―受賞作品の誕生秘話(こんな場面で思いついた など)や込めた思いを教えてください
私は昨年の夏、新型コロナにかかり3週間ずっと外にも出られず家族とも話せず家の奥に隔離されていました。隔離期間がもうすぐ終わろうとしているのに熱が一向に下がらず、自分だけ世間から置いていかれていると焦りを感じていました。そんなときに自暴自棄になって夜通し友人と通話で他愛もない話をして、徹夜でガンガンした頭でトイレの中で何もかも嫌になって泣いていたら、壁紙の端の剥がれたところが涙でぼやけて踊っているように見えたのです。そこからふと発想が浮かんでこの詩ができました。
―受賞作品の創作にあたって、工夫したこと、苦労したこと、楽しかったことをそれぞれ教えてください
工夫したことは2連目の漢字と平仮名の使い分けです。2連目は小学校中学年を想定して書きました。よりその年齢らしさを表現するために一つ一つの漢字の学習する学年を検索して忠実にその学年で既習の漢字のみを用いました。
苦労したことは文末です。幼児期の言葉遣いはどうしても文末が単調になりがちで同じ文末が連続するとどうしても違和感が生じます。リズムを保ちながらも幼児期の言葉遣いを崩さないというバランスを保つのが大変でした。また幼児期と児童期の語彙の差を表現することも苦労しました。言葉一つ一つのニュアンスを吟味して単語を選択していきました。
楽しかったことは脳内に詩がすらすら浮かんできたことです。文字を打つ手が追いつかないくらい文章が流れるように浮かんできて、忘れないうちに文字に起こすことが大変でした。普段はチャットの文面ですら絞り出して打つようなタイプなのでこんなことは滅多になくて新鮮な経験でした。
―受賞作品の創作を通して、得たことや成長したことがあれば教えてください
得たことは、詩は考えても考えてもなかなか出てこないけれどもういいやと諦めると出てくる天邪鬼なものなのだなあという知見です。俗に言うノリと勢いが大切なのでしょうか。私の場合徹夜であまり思考が回ってない状態で適当に書いたことが功を奏したのかもしれません。皆さんももし詩を書きたいけれど何を書いていいのかわからないという状態にあれば、徹夜や絶食など自分を極限状態に追い詰めてみると何かが降ってくるかもしれません。ただ健康には留意してください。
成長したことは、受賞の経験を通して「人生万事塞翁が馬」を実感したことです。人生は何があるのか本当に予測できないものですね。どんなに辛いことがあってもこれが良いことに繋がるかもしれない。どんなに幸せなことがあってもこれが悪いことを引き起こすかもしれない。谷でも希望を捨てず山でも慢心せずこの金言を握りしめて生きてゆこうと思います。
―創作のこだわりやポイント、ルーティーンを教えてください
日々思ったことを文章化することを心掛けています。創作を今から始めようと思っている方におすすめしたいのがTwitterです。Twitterでは気軽に日々の出来事や思考を呟くことができ、また1ツイートが140字までと文字制限があるため必要なことをコンパクトに言語化する良い練習になります。私はTwitterを始めてから言葉の選び方により重きを置くようになり語彙力が強化されました。
また主題に出来事ではなく感情、特に二次感情ではなく一次感情を置くことにも気をつけています。このときのこういう気持ちを言葉に書き残すにはどんな表現がいいだろうかと考え、創り出すというよりは描写する、感情を模写するようなつもりで書いています。
―創作活動の魅力はどんなところですか?
自分のその時の感性を保存できるところにあると思います。人は日々成長、変化していきその時々の感性も常に同じではありません。その瞬間の感性を留めておくにはやはりその感性で感じたものを何らかの作品として表出するしかないのです。今の自分のままではいられないし昔の自分に戻ることもできませんが、その時の作品を読むことでその時の感性を追体験できます。その点では作品とは一種のタイムカプセルで、創作活動とはコールドスリープのようなものなのかもしれません。
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