高校生の部 優秀賞
願いが叶うお守りで私があなたの願いを叶えたい
学校法人翔光学園横浜創学館高等学校2年 山本 梨花

ある日、雑貨屋さんでかわいいミサンガに出会いました。願い事がよく叶うということ で、私は迷わず購入しました。購入時、店員さんに「あなたが五百円で買ってくれたミサンガで、インドの子どもたちに給食を三十食分も支給できるのよ。いいお買い物をしたわね」と言われました。袋を開けると、ミサンガの他に「アプーキー・セヒユ・キー・リー・ダンニャワード(買ってくれてありがとう)」と、ヒンディー語でお手紙が入っていました。 学校でフェアトレードの勉強をしていたので、「これはもしかしてフェアトレードのようなものなのかな、国際協力に繋がっているのかな」と疑問に思い、このミサンガの袋に印字されていた「チーム・ピース・チャレンジャー」に連絡を取り、色々とお話を伺うことにしてみました。

チーム・ピース・チャレンジャーは二〇〇七年設立。インドをはじめ、バングラデシュやネパールの貧困地域へのボランティア活動やスタディツアーを開催する、国際協力 NGO団体です。この団体の取り組みの一つとして、現地の子どもたちにミサンガの作り方を教え、作ったミサンガをチーム・ピース・チャレンジャーが日本へ持ち帰り、店頭で販売し得た収益で現地の子どもたちに給食する「ランチプロジェクト事業」があります。この事業はインドのブッダガヤという小さな農村で行われています。ブッダガヤは釈迦が悟りを開いた「仏教の聖地」として知られる観光名所ですが、実はインドの中でも貧困率がとても高く、餓死する人も珍しくない地域だそうです。また、治安の悪さ等で、政治や国際機関からの援助を受けるのも難しいのが現状です。しかし、インドの子どもたちの目は輝い ています。実に嬉しそうにご飯を食べ、勉強しています。未来に希望を持っています。

けれども、人手や資金の都合上、全員を賄うことは困難です。現地に行って応援をしたいのですが、この情勢、今の私にはミサンガを買うことくらいしかできません。

私は今、横浜市の学習応援・子ども食堂でボランティア活動をしています。実は、こんなに何不自由なく生活できる日本でも、七人に一人の子どもがまともに食事をとることが出来ない現実があるのです。「お腹いっぱいにご飯が食べられない」「毎日一人でご飯を食べる」「勉強する場所がない」――こんな寂しい現実が日本でも起こっているのです。

しかし、子ども食堂に来る子どもたちは毎回キラキラした笑顔で、人懐っこく、気さく に話しかけてくれます。「大きくなったら看護師さんになりたい、ケーキ屋さんになりたい」 と夢を語ってくれます。ブッダガヤとは違う境遇かもしれませんが、こうやって居場所を 作っている子ども食堂は、この子たちにとって心の拠り所なのだと感じます。しかし、こ こも人手や資金が圧倒的に足りません。

SDGs の目標に「貧困をなくそう」が掲げられているように、次代を担う私たちが意識し て貧困問題を解決するための持続可能な取り組みを創出し引き継いでいかなければなりま せん。先述のように、人手や資金が足りない状況を改善するには、興味を持ってもらい、 それに対して支払いたい・参加したくなるような仕組みを考え出すことです。例えば「NGO 法人がアパレル業界のブランドとコラボして、フェアトレード商品をつくる」等、既存の仕組みを組み合わせてコラボレーションさせる方法が良いと考えます。これなら私の友達も商品を購入するでしょう。他にも、「貧困地域で製作した草や竹の環境にやさしいストロ ーを販売し、脱プラスチックを謳い、エシカル消費を促す」、「ふるさと納税を世界に拡大 させ、返礼品として貧困地域の伝統工芸品を扱う」等です。いずれは自分自身も社会に対して大きな力となれるよう、経済や外国語の勉強をし、「未来ある子どもたちの助けになり、 願いを叶える」という夢を追いたいです。このミサンガに願いを込めて。