中学生の部 審査員特別賞
It’s time to re-think poverty.
山形市立金井中学校3年 高橋 苺梨

中学三年生になり私にも、進路に悩む夏がやって来ました。私の夢は世界中から貧困を 無くすことです。小学生の頃マザー・テレサの本を読んで以来「私もこんな仕事がしたい!」 と思いそれからずっと夢見てきました。私は世界で活躍する人材になるべく、高校では留学を考えています。しかし例年と何もかもが違う今年、受験生として改めて進路について 考え直してみることにしました。以前母に「具体的にどんな仕事に就きたいの?」と聞か れた時、すぐに答えることはできませんでした。将来をただ漠然と考えていたのです。しかしこの夏、一本の映画との出会いをきっかけに考えが大きく変化しました。

『援助は本当にその国の為になるのか?』

これは発展途上国の人々を描いたドキュメンタリー映画の冒頭部分です。西インド諸島に 位置するハイチでは、震災後三年経っても未だに支援米が届くため地元の米が売れず、農家が次々と廃業に追いやられています。またアフリカでも古着の寄付が行われることによ り、盛んだった自国の綿畑はなくなり繊維産業が衰退している地域もあるといいます。援助すればするほど無料の物が溢れて現地の人が商売できなくなり、ますます貧しくなって 援助から抜け出せなくなる。思いがけずこうした悪循環が生み出されていたのです。映画を見ている間、私は大きなショックを受け、そしてズキズキと心が痛むのを感じました。 発展途上国の現実を何も知らなかったのです。だからこそ支援や援助が貧しい人達の自立を遮ってしまう事があると知って驚きました。適切な支援でなければ意味がない。私はコミュニケーションの重要性を改めて感じました。支援される側が本当に求めている支援と は何なのか。どうしたら発展途上国が自立できるのか。未だ問題は山積みのままです。

募金や支援は決して悪いことではありません。ただ皆さんの身近にある募金や支援の先 にどんな世界が広がっているのかを知っていただきたいです。身近な募金や寄付活動に参加して満足するだけでなく、世界の問題を自分事として現地の人と直接コミュニケーションをとりながら外側からは見えない問題を見つけ出すことが大切なのだと思います。

この夏を通して、改めて留学したいという気持ちが強くなりました。もちろん不安もあ るけれど、それよりも自分の知らない世界に踏み出してみたい。「可哀想な人達を救いたい」 という目線ではなく、苦しむ人達と同じ目線で、同じ仲間として『一緒に解決する』こと を大切にして取り組み、歩んでいきたいと考えています。世界中の人達の笑顔が溢れ、誰 もが夢に向かって自由にはばたく世界。私が夢見るこの世界は決してゴールではなく、よ りよい未来をつくるための通過点だと思います。正直、国際協力や国連などまだまだ分からない事が殆どです。それでも世界を変える一人に成長するため今は目の前の勉強やボランティアに積極的に取り組みたいです。