「創作活動って興味はあるけど、何をしたら良いかわからない…」そんな方に必見!創作活動をするにあたってのポイント、第24回の受賞者と指導教諭に聞いた取り組みのポイントを紹介します。

短篇小説の創作ポイントを押さえよう!

高校生新聞社 コンテスト選考委員  柚木 利志  先生

―短篇小説の魅力を教えてください

自分だけの世界を創れることでしょう。現実の世界にはいろいろ大変なこともありますが、自分の創るもう一つの世界を持っていることで、それが心のよりどころになります。また、普通の人は作られた物語を消費する受け手として楽しむことしかできませんが、自分が書き手の側にまわることで、創作の喜びを感じ、受け手に留まっていては感じることのできない大きな感動や達成感を感じることができます。

―短篇小説を創作していく上での基本とポイントを5点程度教えてください

①自分らしく書く。オリジナルにこだわる
ゼロから短篇小説を作ることは難しく、自分が読んだ好きな作品の模倣で書く方が楽です。しかし「パクリ作品」は評価されません。以前、選考委員を担当していた時期に、死神が登場する漫画が大ブームになったことがありました。その年の応募作品には「死神もの」が多数届きましたが、全て似たような内容で、みな第一次選考を通過できませんでした。オリジナルを書くということは難しく聞こえますが、自分が本当に書きたいことを自分の好きに書けばよいのです。自分の内面に耳を澄ませましょう。そうしていて自ずから湧き出てしまう文章にこそ、自分らしさがあります。

②ポイントを絞る
「短篇」小説部門のため、字数制限が思ったより短いです。それなのに壮大な物語を書き始めてしまうと、大体「第一章・完」のような終わり方の作品になり、書ききれません。設定に凝り過ぎず、作品に盛り込む事件は一つに絞るという潔い書き方の方がうまくまとまり、書きたかった全てを表現できます。

③読者の心をつかむ「魅力」を持たせる
 読者の心を鷲掴みにするような「魅力のポイント」を作中に作ることを意識しましょう。一番簡単でわかりやすいのは「違和感」を持たせることです。日常に中に非日常を放り込むのです。例えば今この文章をあなたがスマホで読んでいるとすると、そのスマホが実は時限爆弾だった、等のギャップを利用します。文章自体に違和感を持たせるテクニックもあります。例えば「創作のポイント(短篇小説)を読んだ。途端、人生に絶望した」のように、ありえない文章のつながりを用意して、読者になぜなんだろう、知りたいと思わせる手法です。逆にこうしたテクニックを用いなくても、文章表現の美しさや感情表現の細やかさそのものが魅力のポイントになり得るケースもありますが、そのスタイルはかなり才能を必要とするといえます。

④主人公の感情を動かす
 小説のスタート地点でゴール地点で、主人公の感情に何らかの変化が生じるように書くことが大切です。それは激流のような変化かも、あるいはさざ波のような変化かも知れませんが、その気持ちの揺れ動きが、読み手を感情移入させ、作品に感動を生むのです。短篇小説を読むことで、読んだ人の気持ちにも何か変化が生まれるように書けたら、それは最高の作品となるでしょう。

⑤自分の作品を好きになる
 コンテストというものは性質上、最優秀作品は一つしか選べません。それなのに、確かな魅力を備えた作品はいくつも届きます。選考委員をつとめていて毎年ジレンマを感じる部分です。コンテストに挑む全員に心得ておいてほしいのは、優秀作品に選ばれなかったからといって、折角書き上げた自分の作品に価値がないとは決して思わないでほしいということです。そもそも自分の作品というものは、自分の好み100%で書かれた自分にとって世界で一つだけのマイベスト作品です。誰が何と言おうと自分の作品は最高だ、という自負を持って、最高に楽しんでノリノリで筆を走らせてほしいと思います。そうしてこそ初めて、読み手を感動させる作品が生まれるのです。
  

―短篇小説の創作を行うことで、身につく力はどんなことでしょうか

短篇小説も芸術の一分野と言えるでしょう。それゆえに感性・想像力・創造性が鍛えられることが第一です。しかし、それだけに留まりません。文章表現力や論理的思考力全般がレベルアップします。短篇小説は、そもそも自分の内面世界を読み手に伝えるものなので、読み手に伝わるように文章を工夫して書かなくてはなりません。そのことを通じて文章表現力が鍛えられていきます。加えて、規定字数を守りつつ話を終わらせなくてはならないので、論理的思考力・構成力の格好のトレーニングともなるのです。確かに短篇小説を書き上げることはハードルが高めですが、それだけに得るものも大きいといえます。現在の高校の国語教育では、短篇小説を創作するというカテゴリーが完全に外されていますが、短篇小説の創作に自ら挑むことで、学校の国語教育だけでは身に着かない力を鍛えていくことができるでしょう。
 

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受賞者インタビュー

最優秀賞  星野高等学校 田中 望結 さん

 

―このコンテストに応募しようと思った理由を教えてください

普段から趣味で小説を書いていたので、これからの創作のために同年代の方々が書いた作品に沢山触れたいと思ったからです。そしてその機会に、自分の作品も誰かが読んでくだされば嬉しいなあという思いでした。それに、昨年の作品集の中に心を打たれた小説があったので、受賞への憧れもありました。

―受賞作品の誕生秘話(こんな場面で思いついた など)や込めた思いを教えてください

帰宅途中のふとした瞬間に「星空の色って何色なのだろうか」と突然疑問がわいてきたのを覚えています。それが恐らく原点です。その疑問を突き詰めて考えるうちに、私が扱いたいと思っていたテーマに通ずるものがあることに気付き、小説に発展しました。でもまだ完成形ではなく、今の私の結論も未熟だろうと感じていました。「この星空にはまだ夜明けは来ない」というひとことに、私の思いはすべて込めたつもりです。この物語は「序章」であることを大切に書きました。何かひとつでも伝えることができていましたら幸いです。

―受賞作品の創作にあたり、工夫したこと、苦労したこと、楽しかったことをそれぞれ教えてください

少しでも乱暴だったり、押しつけがましかったり、威圧的な言葉を使うと作品の空気が壊れるだろうというのは書きながら感じていました。「星空」というすべての方々にとって身近な、自然物を中心に小説を書くにあたり、烏滸がましいですが、出来れば読んでくださる人を誰も傷つけない文章にしたいと思っていました。ですので、言葉選びには工夫し、時間をかけたと思います。でも苦労ではないかもしれません。創作中はどんな瞬間も楽しかったです。

―受賞作品の創作を通して、得たことや成長したことがあれば教えてください

いつも以上に、読み手の皆様に言葉がどう響くのかを考えたように思います。構造や口調、言葉の解釈など、何通りも書き直し推敲を繰り返すことで、自身が一番書きたい核のようなところに気づけましたし、テーマについてより考えることができました。成長といえるかは自信がありませんが、きっとこれからの創作活動の糧になると思います。

―これからコンテストに応募する人に、創作にあたって心がけるとよいことなど、アドバイスをお願いします

私が心がけたのは「少しでも興味を持っていただける作品をつくること」です。審査員の皆様は、600以上という多大な数の作品をお読みになり、そのひとつひとつに評価をしてくださっています。その点では、心に残ることと、もう一度読みたいと思っていただけることが大事なのではないかと思いました。ですので、もう一度見返したときに存在感を発揮できるタイトルや、統一した空気感を大事にしました。自分の言葉を発信するだけでなく、読んでくださる相手のことを考えることも大切なのではないでしょうか。

―日頃から取り組んでいる創作活動を教えてください

部活動で俳句、短歌、小説などに取り組んでいます。

―創作活動はいつ頃から始めましたか?興味を持ったきっかけは?

(物語の創作)は小学生の頃から始めました。文字にし始めたのは中学生の頃です。当時私には趣味と言えるものが読書しかなく、学校でも図書館に入り浸っていたので、その影響だったと思います。好きなフレーズやそのページ数まで覚えてしまうほど大好きな小説があって、そのシリーズを書かれた先生に憧れています。思い返せばきっときっかけは沢山あったと思うのですが、おそらく原点はそこなのだと思います。

―創作活動の魅力はどんなところですか? 

「恐ろしいところ」だと思います。私はずっと創作活動の中に恐怖を感じています。もちろん楽しいのですが、その根底には「言葉を発する恐怖」が横たわっています。誤解や無意識の差別など、言葉の不可逆性には恐れるべき側面が沢山あります。しかしその「言葉の持つ力」にまっすぐ向き合うことで、言葉への誠実さ、人の心を打つ力にも繋がると信じています。創作活動への恐怖が自身の中にある限りは、創作を続けたいです。

―創作のこだわりやポイント、ルーティーンのようなものがありましたら教えてください

できるだけ毎日小説は考えるようにしています。語彙力や文章力はすぐには身につきませんし、私にはもともと特別な才能がなにもないので、着実な積み重ねの力を信じて創作しています。部活動の俳句、短歌においても毎日詠む活動を行っているので、大切なことなのだと思います。

 

指導教諭インタビュー

星野高等学校 福田 望 先生

―本コンテストにはどのような位置づけで取り組みましたか

文芸部の活動の中で取り組みました。

―ご指導はいつ、どのようにされましたか

文芸部では1年を通じて俳句、短歌、詩、小説など様々なジャンルの創作活動に取り組んでいます。特に、春から夏にかけては、夏休みに開催される俳句甲子園や短歌甲子園などの全国大会出場に向けて、できるだけ多くの作品を作り、それをよりよいものとするために部員皆で推敲し合います。そうして出来上がった作品を大会やコンテストに出しています。今年度はコロナ禍による大会の延期や開催方法の変更などがあったため、例年よりもコンテストに力を入れて創作活動に取り組んでもらいました。

―具体的にどのような指導・アドバイスをされていますか

一日一句一首という取り組みを行って、日々作品を作り続けるようにしています。定期試験の期間を除いて毎日題を出し、それに従って俳句一句、短歌一首を作ってもらいます。その際、生徒だけに作らせるのではなく、私自身も参加するようにしています。また作品はチャット上に投稿して皆で共有できるようにしています。

創作する上でいつも合言葉にしているのは、「共感性と独創性のバランス」です。文学作品であるからには読者に共感してもらえなければ意味がありません。逆に、すでに言われていてわかりきっているような内容だけを作品にしてもつまらない。ほんの少しでも読者の世界に対する見方を変えられるような、そんな作品を目指してほしいと考えています。

―創作活動に取り組むことは、高校生にどんな効果があるとお感じですか

創作をすることで言語力や表現力が磨かれるのはもちもんのこと、他人の書いたものを深く読み解く力も磨かれると感じています。

また、世界に対する見方や関わり方が変わり、より豊かなものになると感じています。たとえば、今まで何気なく見ていた花が、言葉で表現しようとした瞬間から全く別の対象となり、自分にとってもっと緊密で複雑なものに変化するのです。

さらに、創作することは自らの感動を作品として残すことであり、それは自己を客観視することや自己を肯定することにつながると感じています。その作品が他者から理解されたり、褒められたりすると何とも言えない幸せな気持ちになるものです。

 受賞作品を読んでみよう!
  短篇小説の部    現代詩の部    短歌の部    俳句の部
 
 ★応募に関する詳細は応募概要ページでご確認ください