7月1日から募集開始となる「第26回全国高校生創作コンテスト」の短篇小説部門審査員を務める作家の中村航先生。小説『100回泣くこと』『トリガール!』のほか、「BanG Dream!(バンドリ!)プロジェクト」では原作・ストーリー原案に加え作中楽曲の作詞も担当するなど、多方面で活躍している中村先生に、「書くことの大切さ」や創作のコツなどを聞いた。「自分が小説を書くことはない」と思っている人でも、勉強や高校生活に役立つ話が満載なのでぜひ読んでほしい。

 

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「書く」ことで、物事を一番深いところまで考えることができる

―中村先生はどのような高校生活を送っていたのでしょうか?

とくに本ばかり読んでいるというわけではなく、友達と文化祭で盛り上がったり、マンガを読んだりする普通の高校生でした。当時夢中になったのはバンド活動。高校卒業後も続けていて、作詞もしていました。

―小説を書こうと思ったきっかけを教えてください。

大学卒業後、就職してからも続けていたバンド活動を辞めようと思ったのが27歳の時。「明日から何しようか」と考えた時に「小説を書こう」と思って次の日から書き始めたんです。

どちらも、自分がかっこいいと思うことや、素敵だなと思うことを表現するという点では変わらないです。今になってまた、「バンドリ!」で歌詞を書く仕事をしていますが、小説を書いてきたことによってむしろ作詞が上手くなっていると感じています。

―作品を創る際に心がけていることはありますか?

普段小説を読まない人に読んでほしいと思って書いています。そういう人達にどういう風に通じるかな? ということを常に意識していますね。それと、小説というものは「カタい」とか「難しい」とかそう思っている人もいるかもしれませんが、そうではなくて「面白いよ」ということを伝えたいし、まず面白いものをつくりたいと僕は思って書いています。「流行っている」「人気がある」というのではなく、その人にとっての面白い作品は絶対にあります。それは自分で探すしかないんだけど、小説を書きたい、小説でなくても面白いことをやりたい、という人はぜひ自分にとって面白い作品を見つけてください。

―小説を書く時に押さえておきたいポイントを教えてください

小説に限らず、「書く」という行為は、物事を一番深いところまで考えることができると思っています。何かを考える時にメモを取りながら考えることってあると思うけど、そうやって1回アウトプットすると、次に進めるんです。頭の中だけだと、1段階、2段階までしか進めないところを、「書く」ことで3、4、5、6…と進められるんですよね。そういった経験を高校時代にすることはとても良いことだと思います。

―筆が進まない、という時に心がけている事はありますか?

自分で自分にメモを書いています。「明日は絶対にもっと書くぞ!」とか、「明日はもっと進めよう」とか。寝る前に書くんですね。それで見えるところに貼っておく。今日のくやしさを忘れないために、というか寝ると忘れちゃうから。高校生のみなさんも勉強がはかどらないときなどにオススメかもしれません。