独立行政法人国際協力機構理事長賞
世界の生理事情から考えるSDGsの達成とは                      玉川聖学院高等部 3年 藤林 彩乃

 

私たち女の子には一ヶ月に一度憂うつな日があります。それは生理です。突然始まってしまった時にナプキンを持っていなかったら、友達にもらったり、お店で買わなければなりません。日本では質の良いナプキンが低価格ですぐに手に入り、学校や仕事に行くことも出来ます。では外国はどうなのでしょう。私は昨年、インドから来日した留学生と友達になりました。二人で一緒にお茶を呑んでいた時に彼女が生理になってしまったのです。私は持っていたナプキンを渡しました。処置が終わり戻ってきた彼女は、そのナプキンの質の良さに感動し、インドの生理事情について話してくれました。インドのある地方では宗教上、生理中の女性は汚れたものとされていて、台所で料理をすることも家の中で寝ることも許されずベランダで寝るとのこと。また多くのインドの女性たちはナプキンが高額の為、購入できません。お米が1㎏31円に対しナプキン20個入りが217円。だから不衛生な古い布をナプキン代わりにして処置する為子宮の病気や感染症で苦しんでいるのだそうです。

2015年9月国連総会で2030年までに達成すべき17の維持可能な開発目標SDGsが採択されました。その中には全ての人に健康と福祉を。世界の妊産婦の死亡率を10万人あたり70人未満に減らすとゴール3に記されています。しかし現在、開発途上国の妊産婦死亡率は依然として先進国の14倍にのぼります。それは恐らく医療の発展の遅れに加えて生理中の不衛生による子宮環境の悪化が強く影響しているのです。生理現象は誰にでも起こるにも関わらず、生まれた国によって格差があるということをインドの留学生から学びました。

ある日私は通学路で布ナプキンの専門店を見つけました。布ナプキンは繰り返し洗って使える為衛生的です。日本全国の女性12歳~50歳の人口は約2840万人。一人あたりのナプキンの年間使用枚数を240個とすると、日本では68億個のナプキンが使用されることになります。もしも使い捨てナプキンを皆が使ったとすれば、年間5万5000tのゴミが出る計算です。しかも使い捨てナプキンの主な素材は石油由来のものから作られている為、使い捨てる度に地球の沢山の資源を使っては捨てていることになるのです。勿論ゴミを焼却する際も多くのエネルギーを使います。繰り返し使える布ナプキンは地球の貴重な資源を大切に使うことにも繋がるのです。

でも2030年まで、あとたった10年しかありません。今こそSDGsの達成に向けて私たち高校生も行動する時が来たのです。私の通っている高校では、この9月に家庭科の授業で生理用布ナプキンを作ることになっています。私の学年は約200人在籍している為、少なくとも200枚の布ナプキンが完成することになります。それを国連と連携を図り開発途上国に送りたいのです。文化によって男性に生理のことを言えない国の女性も沢山います。だから青年海外協力隊の女性に布ナプキンを届けてほしいのです。それにより全ての世界の女性の生理ライフが平等化され女性の社会進出も期待出来ます。

家庭科の授業で生理用布ナプキン作っている様子

そして、日本国内でもこの布ナプキンを普及させる為、小学校の家庭科や保健体育の授業でも取り入れるべきです。子どもの頃から教えられることにより生理に対する理解を深めることが出来るでしょう。

現在の小学三年生が成人を迎える年が2030年です。先進国の中でも早いスピードで人口減少が起こる日本だからこそ、未来を担う私たちは世界の価値観を共有し、行動していく必要があるのです。

それが環境や開発に関する持続可能な開発目標SDGsの達成に繋がるのです。