国際協力特別賞
ひまわり畑
小さなことの積み重ね
京都市立西京高等 学校 1年 中村 真依子

笑顔、ダンス、笑顔。フィリピンに着き第一に感じたことだ。私はこの夏、フィリピンの児童保 護施設でのボランティア研修に参加した。ゴミ山にも行きスラムに住んでいる人に話を聞く機会もあったが、そこでも現地の方の笑顔が素敵で輝いていた。だが、スラムで何人かの子どもに将来の夢を聞くと笑うだけで答えは返ってこなかった。それがフィリピンの現状、貧しさを物語っているのではないかと感じた。そして、なぜ同じ子どもなのに夢を自由に語れないのかという思いがこみ上げてきた。

私はフィリピンで大切なことに気付いた。それは幸せの多様性だ。恵まれている環境が幸せなの ではない、「らく」と「幸せ」は直結していないということに気付いた。施設の子ども達も幸せそうで、誰かに大切にされる、誰かを大切にするということが心を満たしているのではないかと思った。

私は先進国とよばれる日本に住んでいるから現地のことについてもよく知らないまま、途上国の 生活は不便だろうと思っていた。だから新しい機械や技術を伝えることが支援になると信じていた。 だが現地には節水の工夫など素晴らしい伝統や知恵が多くある。そのため一方的に新しいことを伝えるのではなく、現地の伝統、知恵を尊重した上での支援が必要だと思う。つまり、現地の考えを土台として、彼らが安心して安全に暮らせるような社会を築いていく必要があるということだ。しかし、十代の私達にそれを行うことは難しい。そこで私達にできることは支援者を支援することで はないだろうか。支援活動をアピールして身の周りから広めたり、支援するための資金を寄付で集めて送ったりということだ。実際、現地の施設の方が施設が足りていないから全てのストリートチルドレンを保護できないと言っていた。日本では直接支援する人の方が注目されがちで、支援と聞くと直接何かをすると思ってしまう。直接支援することはお金もかかるし気軽にできることではな いと思う。そこでより多くの人に幅広い支援の形を伝え小さな支援を行いやすい社会になれば世界は変わるだろう。まずはそんな小さな支援を継続してやっていきたい。その経験が将来海外で活動するときに役立つと思う。

私が行っていきたい活動にワンボックスチャレンジというものがある。日本などの先進国が自国で処理できないゴミを途上国に輸出していることを知り衝撃を受けた。環境問題は途上国だけの問題ではなく世界の問題だと改めて感じさせられた。私達もゴミを減らさなければならない。そう思い一緒に研修に参加した仲間と考えたのがワンボックスチャレンジだ。これは一定期間でのゴミの量の目標を決め、クラス対抗などで競い合いゴミを減らす意識の向上を目指すものだ。学校で行うことで各家庭、職場へと活動が広がってほしい。今は目標を決めるためにクラスでのゴミの量の調査中だ。初めての活動で行き詰まることもあるかもしれないが試行錯誤を重ね根気強く続けていき たい。

国際協力で最も大切なことは心に寄り添うことだとフィリピンでの活動を通して思った。支援する側、される側という関係以前に、同じ人間として何かしたいという思いやりの心があればよりよ い世界になるだろう。国が違っても相手のことを知ろうとする、認める、信頼関係を築くということが大切だと思う。

私はフィリピンで見た笑顔をずっと忘れない。世界の子ども達がひまわり畑のようにそれぞれがのびのびと輝ける日まで私は何ができるか考え続け行動を止めない。本当の思いやりの心を行動で教えてくれた、私の考えを変えてくれたフィリピンの施設の子ども達。いつか大きくなって活躍し ている彼女達に会い、サラマット(タガログ語でありがとう)と言いたい。そしてあの夏と同じように笑いあいたい。