審査員特別賞
函館市の持続可能性を高めるために
遺愛女子高等学校 2年 船越 楓華

この地球上で起こる様々な問題を解決しようと、世界中の大人たちが日々働いている。

私が住んでいる函館市では、都市部と比べて国際問題に直接触れる機会が少なく、それらを解決しようとする雰囲気が私たち学生のもとになかなか届かない。私は頭の中だけで途上国支援について考えていたが、行動を起こすことはできず、何か新しい取り組みが始まるのをずっと待つばかりだった。

しかし、世界を変えるために必要なのは、私たち学生が自ら動き出すことだった。

この夏、私は JCI少年少女国連大使としてスイスとスウェーデンの研修に参加した。

スウェーデンは  SDGS  達成ランキングが世界二位であり、訪れたマルメ市は二〇三〇年までに世界のリーダーになることを目標に、新しいまちづくりを行っている。今回の研修を通して私は、スウェーデンが学生の力を必要不可欠としていることに注目した。

スウェーデンでは二年に一度、子どもたちが  SDGSの中からゴールを一つ選択し、それに貢献する取り組みを自分たちで考え発表し合う、イノカーニバルを開催している。これは、授業の一環として行われており、子どもたちは先生のサポートを受けながら、一年間かけて取り組みを考える。イノカーニバルの会場では、子どもたちがお互いの取り組みを共有し合い、意見交換や体験できる場であるのと同時に、政治家や企業の方にとっても今の子どもたちが何を考え、どんなアイデアを生み出したのかを知る良い機会になっている。つまり、大人が子どもにアイデアを求めているということだ。実際に、参加した学生のアイデアが大学や企業との協力で実現したものもある。それは、スマホアプリの開発や、授業に「男女平等」の追加など様々だ。他にも多数の学生団体が活動しており、SDGS や持続可能なまちづくりへの関心が非常に高いことが分かる。

それはなぜかというと、スウェーデン教育には、大人も子どもも、皆が世界を変える一人になれるという一つの教育理念がある。質問や発言すること、自分の考えをしっかり持つことが重要視され、日本のように決まった席や宿題がなく、子どもたちは教室内の好きなところで座ったり立ったりしながら、自由に授業に参加できる。どう授業を受けるかではなく、授業から何を学び、何を考えたかが重要という考え方だ。授業内にもイノカーニバルのようなものなど、SDGS   や国際問題について学ぶ機会が与えられており、自然と理解を深め、そして子どもたちは自信を持ってアイデアを発表し合う。実際に息子さんが持続可能な取り組みに興味を持ち始めたから私も一緒に取り組んでいるという声も聞いた。

ここで、函館市に問題解決の波が広がらない背景にはこのような意識の違いがあるのではないかと考えた。函館市の多数の高校生にアンケートを実施したところ、「国際問題に関心があり貢献したいと思うが、行動に移せていない」という答えが圧倒的に多かった。

今、持続可能な社会を作っていくために動き出すべきなのは、私たち学生だと気が付いた。子どもの意識が大人に伝染するのだと。