第28回 現代詩の部 受賞者インタビュー
最優秀賞 『喋らない青年と喋れない老人』
スイス Institut Auf Dem Rosenberg 田中 理紗子さん 作品はこちらからご覧いただけます

―受賞した感想を教えてください。
作品に隅々まで目を通してくださった審査員の方々に御礼申し上げます。この受賞は私のものだけではなく、これまで支えてくださった両親や先生方のものだと考えています。そのためこの受賞を報告できることをとても嬉しく思います。
―このコンテストに応募しようと思った理由を教えてください。
応募した理由は親に勧められたからです。
―受賞作品が生まれたきっかけ、作品に込めた思いを教えてください。
この作品は私と祖父との関係に、いくつかのフィクションを加えたものになっています。書いた当初は、作品を公にする予定ではなかったので、かなりパーソナルなものになっています。
―受賞作品の創作にあたって、工夫したこと、苦労したこと、楽しかったことをそれぞれ教えてください。
私は常に色々な形式やテーマで詩を書いているので、どの言葉遣い、言い回しが的確に自分の頭の中にあるイメージを伝えられるのか、工夫しがいがあり、楽しかったです。作品の終わり方をどのようにまとめるか、何度も考え苦労した記憶があります。
―受賞作品の創作を通して、得たことや成長したことを教えてください。
この作品に限らず、創作活動全般になってはしまいますが、詩を作ることは時に日記を書くことに似ています。そしてその日記は今の自分を現存させる方法、未来の自分へのメッセージにもなりえます。詩を書くこと読み返すことは、常に自分の成長を感じさせてくれます。
―創作活動は日頃から行っていますか?
はい。
―創作活動の魅力はどんなところですか?
良いものが書けた時、それを読み返した時の満足感は何にも代え難いです。それを可能にしているのは、言葉の再現性の高さだと思います。絵画にも同様のことが言えますが、何度読み返しても全く同じものがそこにある安心感は言葉ならではです。そんな言葉を通して、自分の心境や考え方の変化を感じ取ることも、創作活動の素敵な楽しみ方だと思っています。
―創作のこだわりやポイントを教えてください。
日常のルーティーンとして、日々出会った言葉を書き留めるようにしています。というのも、たとえ知っている言葉でも使いこなせているとは限らないからです。余談にはなりますが、英語ではそういった語彙のことをpassive vocabulary、日常的に使用している語彙をactive vocabularyと言います。私はactive vocabularyを増やそうと努力している次第です。
―創作活動に興味がある人、始めようとしている人へアドバイスをお願いします。
創作活動は書き手、読み手ありきです。私は決して多くはありませんが、身近な数名の方に自分の作品を日常的に読んでいただいています。感想やフィードバックは自分の作品に対する新しい知見を運び込んでくれます。もし機会があったら、創作活動を始めようと思っていることや、自分の作品を、どなたか信頼できる方に話してみるのはいいかもしれません。
★応募に関する情報は、応募概要ページでご確認ください。
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- 短篇小説の部 ・ 現代詩の部 ・ 短歌の部 ・ 俳句の部
- ★審査員を務める 水無田気流先生からの一言アドバイス