国際協力特別賞

ゲームで繋がる世界

宮城県気仙沼高等学校 3年 小野寺 芽生

「もこもこ」

「もこもこ? What is もこもこ?」

これは、私が香港のフレンドと交わした、ゲームのチャットです。そのフレンドと一緒に、アフロのコスチュームを身につけていました。

「もこもこ is sound」

「なるほと。 Like ふわふわ?」

「Yes !」

簡単な会話でも、私にとっては新鮮で、とても嬉しかったのを覚えています。「なるほと」は「なるほど」の誤字ですが、慣れない日本語を使って話してくれるのが、とても愛らしいです。

私の通う高校には、「創造類型」という、課題研究授業が盛んなコースがあり、私はそのクラスの一員です。2年時に個人でテーマを決め、2年弱、追求します。

私の研究テーマは、「オンラインゲームを介した国際交流でパートナーシップを築くことは可能か」です。コロナ禍で、オンラインサービスが爆発的に普及し、中でもゲームはとても身近であるように感じられます。また、ゲームを通じてのやり取りでは、同じ文脈の中にいることで、会話のハードルが下がるということに気づき、このテーマを設定しました。

しかし、オンラインゲームの中と言っても、「海外の人は怖い」という印象を持つ人は少なくないと思います。私も初めはそうでした。言葉が通じるか不安で、文字を打つのにも時間がかかっていました。しかし、「心配しないで、あなたの英語はよく伝わります。ゆっくりで大丈夫ですよ。」と言ってくれた、イタリアのフレンドのおかげで安心できました。また、日本で地震があった際には、心配して声をけてくれる海外のフレンドもいます。私の研究にも、快く協力してくれるフレンドがたくさんいました。

ロシアのウクライナ侵攻など、まだまだ世界では問題が起こっていますが、ゲームで海外の人と交流することによって、どれも他人事ではないと実感できました。

ゲームという娯楽要素の強い媒体でも、お互いの国に何かがあった時などに、「大丈夫かな」「自分にできることがあったらしてあげたいな」と思える、人の繋がりを作ることができます。ゲームは「個人が世界と繋がる1歩」となり得るという意味で、私の研究では、ゲームを介してパートナーシツプを構築することは可能であると結論を得ました。

また、私は進路について悩んでいましたが、この研究を通して、「ゲームを作りたい」という将来の夢を見つけることもできました。私は幼稚園の頃からゲームが大好きで、ゲームは、現実とは違う自分になれる「自由な世界である」ということに惹かれていました。研究の中でもアメリカのフレンドに、「ゲームの中では性別、国籍、人種に囚われずに済む」という話を聞きました。多くのゲームにはカスタマイズ性があり、アバターなどを自由に設定することができます。それによってプレイヤーの容姿に平等が成り立っているのだと、改めて実感しました。

私がプレイしているゲームでは、イベントを開催し販売される、課金アイテムの売上の1部を、非営利団体に寄付するという取り組みなども行われています。例えば、自然保護に関わる団体への寄付については、地球の環境について考える「アースデー」がテーマのイベントが開催され、自然モチーフのアイテムが販売されました。また、LGBTQ のための組織への寄付については、多様性の象徴である、虹をモチーフにしたアイテムが販売されました。このようなイベントを開催することによって、国際問題への関心を誘うことも可能となっています。

私は、みんなが楽しく遊べて、そのうえ、世界の未来を明るくする、そんなゲームを作ることができたらと思います。