国際協力特別賞

湘南の魚が教えてくれた世界の海の危機。
今、僕ができること。

暁星中学校 1年 飯田 颯志

ギンポという魚を知っていますか?

湘南の海沿いの街で育った僕にとって、春のギンポ釣りは家族の恒例行事です。ギンポは、江戸前の高級魚として知られ、関東では江戸時代から天ぷらにして食べられているドジョウに似た魚です。毎年、家族で釣ったギンポを父がさばいて、母が天ぷらに揚げ、皆で食べることが我家の春の恒例行事です。

今年の春、ギンポ釣りから海の環境問題について考えさせられる事件がありました。毎年のように、家族で釣ったギンポをさばく父が、「見て!ギンポの胃の中からこんなのが出てきた!」と、台所から大声で家族を呼びました。砂粒くらいの大きさの、青と白のプラスチックの粒が、胃袋に付いていました。ギンポは海底に生息していて、エサを丸飲みする習性がある魚なので、水中に沈むプラスチックを飲み込んだのだと思います。世界中で問題になっている海洋プラスチックの問題は、テレビのニュースなどで聞いたことはありましたが、自分が住む湘南の海でも起きていることを、僕は初めて実感しました。

僕は、今まで海の環境問題について、考えることは多くはありませんでしたが、今回、自分が釣ったギンポの胃から出てきたプラスチックを見たことで、身近な問題として真剣に考えるようになりました。ギンポが飲み込んだプラスチックが湘南から出たものか、海外から流れてきたのかは分かりません。しかし、こんなことが世界中の海で発生していると思うと、僕はぞっとしました。

「この問題に僕ができることはなんだろう?」。そう考えても、僕が一人でできることは限られているし、解決策はすぐに思いつきません。でも、今自分にできることをコツコツと地道にやることが、世界中の海で起きている環境問題に貢献できるかもしれないと思い、湘南地域のサーファーが毎月行っている海岸清掃活動に積極的に参加することにしました。夏休みは、毎日の犬の散歩の時に、海岸のゴミを拾うことを心がけました。世界中で起きている問題にとっては、小さな活動だと思います。でも、僕の行動が近所の友達や他の地域の人たち、さらに世界にも広がれば、美しい海を未来に残すことができると思います。

世界中の海に住む生物を保護するため、漁業で生活している人のためにも、きれいな海を守りたいと思います。そのためにも、世界中のきれいな海を守り、未来に残すことに何か貢献したいと思います。僕が大人になった時に、湘南のギンポがいつまでも江戸前の魚として、日本人だけでなく、世界中から日本に来る海外の観光客にも食べてもらえるように。そして、大人になった僕がギンポをさばいたときには、プラスチックを飲み込んだかわいそうなギンポがいない海にしたいです。

きれいな海を守り、江戸時代から続く、美味しいギンポの天ぷらを未来に残すために、僕は湘南の海岸のゴミ拾いを続けることから世界に貢献したいと思います。