石原さとみさん主演で7月16日にスタートした医療ドラマ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(フジテレビ)。彼女が演じる主人公葵みどりの職業は「病院薬剤師」(病院で働く臨床薬剤師)だ。医療の仕事の中でも高い人気を誇る「薬剤師」。薬剤師になるためには、大学の薬学部(6年制)を卒業し、薬剤師国家試験に合格する必要がある。厚生労働省によると、平成30年12月31日現在の薬剤師数は311,289人で、平成28年の調査より約1万人増加。また、6割以上が女性という特徴もある。

薬剤師の仕事とは

薬剤師は人々の病気やケガを治すために、薬局や病院、診療所で薬を調剤し、管理や販売に当たる。調剤とは医師の処方せんに基づいて薬を調合し、患者に手渡すことである。医師の処方せんを病院外の薬局で薬剤師が調剤する医薬分業体制が進んでおり、医師と薬剤師がそれぞれ薬剤を確認することによって、医療ミスを防ぐしくみだ。

また、薬剤師は、どの薬をどのタイミングで飲めばよいのかなど服薬指導も行う。あまり知られていないが、大学以外の学校には、学校環境衛生や健康相談、保健指導を行うために、学校医と同様に学校薬剤師もおかれている。いずれにしても、正しく、安全に薬を使ってもらうために、医療と患者をつなぐ役割を果たしているのだ。

高まるニーズ

石原さんがドラマで演じている「病院薬剤師」は、現実でもニーズが高まっている。。調剤や分析・研究をするだけでなく、注射液、点滴の輸液から内服薬までさまざまな薬を管理し、一人ひとりに合わせたものを用意するほか、入院患者に直接、服薬指導を行うこともある仕事である。

近年は、医師、看護師、管理栄養士らと一緒に、チーム医療を行う病院が増えている。その一員として、より高度な知識が必要とされ、一歩進んだ治療活動を担っていると言えるだろう。

また、高齢社会となった現在、在宅医療や各種高齢者施設における薬剤師のニーズも高まっている。医師や訪問看護師、施設スタッフやケアマネージャーらと連携し、患者の自宅や施設を訪問して薬を渡し、薬剤管理や服薬相談などに応じることが求められる。

医療分野で薬剤師は必要不可欠な役割を担っているため、調剤薬局や病院では今後も安定したニーズがあると見られている。それにともない、薬剤師を養成する大学が急速に増え、資格取得者も増加傾向にある。そのため、薬剤師間の競争は激しくなる見込みだが、一方で製薬会社や化粧品会社などの開発職、製造・販売工程の管理者、MR(医薬情報の担当者)、ドラッグストアなどにおいて、専門家としての活躍できる場は意外に幅広い。

薬剤師を目指せる大学

岩手医科大学 /薬学部

昭和薬科大学 /薬学部[薬学科(6年制)]

東京薬科大学 /薬学部[医療薬学科、医療薬物薬学科、医療衛生薬学科( いずれも6 年制 )]、生命科学部

星薬科大学 /薬学部[薬学科(6年制)、創薬科学科(4年制)]

明治薬科大学 薬学部[薬学科(6年制)、生命創薬科学科(4年制)]

 

薬剤師になるには

薬剤師になるには、国家資格の取得が必須である。薬剤師国家試験の受験資格を得るには、大学の薬学部か薬科大学に設置されている6年制の薬剤師養成課程を修了する必要がある。

大学では物理、化学、生物から医療における倫理まで、調剤薬局や病院での実習などを交えながら学び、薬学に関する幅広い知識や技術を身に付ける。

2019年2月に行われた薬剤師国家試験では、受験者数14,376名のうち10,194名が合格。合格率は70.91%だった。