近年、流行している「糖質制限ダイエット」や、りんごや豆腐などさまざまな食材で提案される「一品ダイエット」は、医学的に見て本当に効果があるのか?内科医の鈴木眞理先生(政策研究大学院大学教授)に聞いた。(青木美帆)

糖質制限すると体が臭くなる

まずは糖質制限について説明しましょう。糖尿病の方が糖質を減らせば、血糖のコントロールが良くなるので、有効です。ただ、総エネルギーを補うためにタンパク質と脂質に富む食品を食べ過ぎると動脈硬化が進んで、死亡率がむしろ上がることが明らかになっています。脳はブドウ糖のみをエネルギーとして働いているので、糖質制限したらどうなると思いますか?まず、肝臓にたくわえられたグリコーゲンという貯蔵した糖を使い、次に脂肪と筋肉を壊して糖を作り出そうとするのです。これには時間がかかるので、糖不足で頭がぼーっとするでしょう。脂肪を壊してエネルギーにし始めると、脂肪分解で発生するケトン体という物質の影響で体や口が臭くなります。たとえ痩せたとしても、頭がぼーっとして体中が臭くて筋肉が落ちるなんて最悪ですよね。糖質を食べ過ぎないという心がけは大切ですが、極端な制限はやめましょう。

一品ダイエットするとリバウンドする

続いて一品ダイエットについてです。体は200~300種類の栄養素を必要としています。一品しか食べなければ当然、すべての栄養素をカバーすることはできませんよね。すると脳は「栄養が足りないからもっと食べろ」という指令を強めるのです。その結果、ダイエットに取り組む前よりも食欲が増し、大量に食べてリバウンドします。

こうした「何かを食べないダイエット」は、基本的に筋肉を落とすダイエットです。筋肉が減ると代謝の悪い身体になって脂肪は落ちにくくなります。そういう意味でも、こういったダイエットは意味がありません。

 
鈴木眞理先生
内科医。政策研究大学院大学教授。
日本摂食障害協会の理事を務める。