宇部工業高校(山口)は、毎年11月の文化祭で「古代たたら製鉄復元操業」を行っている。今年は10月に山口県で開催される専門高校の全国大会「全国産業教育フェア」で披露する。(木和田志乃)

たたらは空気を送り込む道具「ふいご」の意味。たたら製鉄は、粘土で作った炉に砂鉄と炭を入れて燃焼させ、鉄を作る日本古来の製鉄法だ。特に純度の高い部分を玉鋼といい、日本刀の原料になる。村下(むらげ)と呼ばれる、たたら操業の責任者の一人がOBだった縁で2013年から復元操業が始まった。

徹夜で砂鉄と木炭を投入する。火力は手押しふいごで炉に空気を送って調整(学校提供)

灰まみれ、熱く厳しい作業

昨年は、2年生(当時)の有志83人が参加した。文化祭の20日ほど前から材料などを準備。当日は村下の指導の下、午前中に粘土で築炉。乾燥を待って深夜に火入れし、交代制でふいごで空気を送りながら炉に砂鉄と炭を5分間隔で投入した。

砂鉄は全部で200㌔。作業は昼まで続き、午後には炉を解体して鉄の塊72㌔を取り出した。吉田陸冬君は「手や、顔の穴という穴が灰まみれになる。炎のそばでの操業は、とにかく熱くて厳しい」と振り返る。「村下は1日中、炉の近くで立ちっぱなし。ここまでしないといけないのか」と、ものづくりの大変さを体で学んだ。芦田龍誠君も「村下の目が80人以上の参加生徒全員に届くわけではないので、指示を待つだけでなく自主的に動くことが重要」と気付いた。

秋の「さんフェア」で披露

今年は10月20、21日に山口県で開催される全国産業教育フェア山口大会(さんフェア山口)でも復元操業を披露する。大会の実行委員を務める芦田君は「機械を使わず、人力で鉄を作った1300年前の先人たちの知恵と山口県の取り組みを知ってほしい」と来場を呼び掛けている。