国が高校生の留学を応援する「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」の奨学生として昨年オーストラリアのシドニーに3週間留学した坂井結花さん(東京都立砂川高校3年)に体験記を寄せてもらいました。

挑戦する大切さ、伝えたかった

私がなぜ留学を希望したのか。その理由を書こうと思います。私は生まれつきの障害で、車いす生活を送っています。私が留学をして、何事にもあきらめず挑戦することが大事という事を同じ立場にいる後輩たちに伝えたかったからです。オーストラリアのシドニーに二一日間、留学しました。

実は父の仕事の関係でオーストラリア人の方が家にホームステイしたことがあったので、オーストラリアにはなじみがありました。

私が入学したのは、シドニーの中心部にあるILSCという語学学校です。世界各地から多くの留学生が集まっていました。クラスメートは約15人。韓国・中国・ブラジル・タイ・コロンビアなど、さまざまな国から来ていて年齢もバラバラで、私が最年少でした。皆明るく気さくでとても楽しかったことを覚えています。学校の授業時間は朝8時半から午後1時まででした。私は文法とコミュニケーションの授業を受けました。最初にレベルチェックのテストがあり、自分に合ったレベルで授業を受けることができます。

お世話になった語学学校の先生方と卒業パーティーで

3週間で耳が慣れ、発言できるように

2人の先生はとても優しく個性的で、楽しい授業でした。でも、3週間のうち、1週目は何を言われているのか全くわからず、頭の中が混乱状態でした。2週目に入ると少しずつ耳が慣れてきて、所々ですがわかるようになってきました。3週目になると、積極的に発言できるようになりました。学校には日本人のスタッフのアヤさんという人がいました。授業で使う教材プリントなどを私のタブレットに送ってくれたので、とても助かりました。ほかの生徒はペンで書いて提出するところを私はタブレットに入力し、データを提出すれば大丈夫でした。タブレットを使う際にセッティングしなければいけないのですが、友達に頼んでしてもらいました。

シドニーの語学学校では英語の楽しさを学び、世界各国の友達ができました。そして、日本の学校とは違う発見がたくさんあり、とても充実した学校生活を送ることができました。

クラスメートと一緒にランチを食べに行くところ

施設と交通機関のバリアフリーを調査

また私は『日本と海外のバリアフリーの比較について調べたい』と思っていたので、学校が終わった後、公共交通機関を使っていろいろなところへ行ってみました。観光地もあることもあり、施設面・公共交通機関でのバリアフリーは問題ありませんでした。

私が最もうれしく思ったことは、シドニーに住む誰もが障害を持つ方、持たない方に関係なく困った時にはすぐに手を差し伸べてくれるということです。これこそが、私が求めていた『心のバリアフリー』でした。これからの日本も、もちろん施設面でのバリアフリーは大切ですが、一人でも多くの人々に『心のバリアフリー』を持ってほしいと思いました。