東進ハイスクール英語科講師 安河内哲也先生

第2回 力がつくノートの取り方

効率よく成績を上げるための勉強の極意を、東進ハイスクールのカリスマ講師・安河内哲也先生が伝授! 今回は、安河内先生流の効果的なノートの取り方について教えてもらった。ノートが本当に勉強に役立つものになっているのか、いまの自分を振り返りながら読んでほしい。(構成・安永美穂)

教科書・参考書丸写しはNG

新学期が始まって1カ月、勉強のペースはつかめてきたかな? 今月は、ノートの取り方のコツを伝授するよ。

ノートを取るときは、「これは何のために書くのか?」を常に考えよう。ノートは大事なことを覚えるために書くものであって、ノートを作ること自体が目的ではない。キミは、取りあえずノートに「書いた」というだけで、勉強した気になっていないかな? ただ書くだけで、頭を使って考えたり覚えたりしていないのであれば、それはムダな「作業」にすぎない。まずは、そんなムダを見直すことから始めよう。

真っ先にやめた方がいいのは、教科書や参考書の内容をノートに丸写しすること。頭を使わずにただ書き写すだけでは、知識としては定着しにくい。目的のない年表作りや、書くだけで見直すことのない単語リスト作り、意味なくカラフルな線を引いて見た目がきれいなノートを作るといったことも、全てムダな「作業」なので注意してほしい

覚えたいことだけを書く

英語のノートに、教科書の本文と全文和訳を書いている人もいるかもしれないね。この場合も「何のために書いているのか?」を考えることが重要だ。

本文を書き写すときに、読んだ英文の意味を考えながら頭で覚え、何も見ないでノートに書くようにするのであれば、それは英文読解や英作文の訓練になる。この場合は、覚えたことを素早く書くことが大切だから、字は雑でかまわない。でも、何も考えずに単なる丸写しをしているのであれば、それはムダな作業。代わりに教科書のコピーを貼って、余った時間で単語の暗記や、英文の意味を考えながら読む訓練などの「本当の勉強」をした方がいい。和訳に関しても、英文を読めば意味が分かる部分までノートに書く必要はないよ。「ここは分からないから覚えよう」と思ったところだけを書き、確実に覚えるようにしよう。

つまり、ノートは、自分が頭の中に入れたいと思うことの「一時保管場所」なんだ。書くことがゴールではなくて、書いたことを記憶できて初めて意味を持つ。だから、覚えるべきことだけを厳選して書くことが大切なんだ。

 

 

書いたらその場で覚える

どこが覚えるべきことなのかが分からない場合は、授業中に先生の話をよく聞こう。そして、先生が繰り返し言うことや、大きな声ではっきり言ったことをメモするんだ。既に知っていることや、先生の雑談の内容などは書かなくていい。ノートを書く量と時間を減らせば、その分、ノートに書いたことを覚える時間をつくり出せる。ノートに書いた重要なことは、その場で何度も見直して全て頭にたたき込んでしまおう

効率重視で、覚える必要があることだけを書く。そして、書いたものはその場で覚える。これが成績アップにつながるノートの取り方の鉄則だ!

やすこうち・てつや
1967年生まれ。東進ハイスクール英語科講師。自らも「学び方」にこだわって、苦手を克服し、英検1級やTOEIC満点などを取得した。能率を重視した勉強法で多くの高校生を志望大学合格へと導いている。英語4技能試験の普及にも取り組む。