東進ハイスクール英語科講師 安河内哲也先生

第3回  模擬試験の有効活用法

効率よく成績を上げるための勉強の極意を、東進ハイスクールのカリスマ講師・安河内哲也先生が伝授! 今回は、模試の結果が返ってきた後にやるべきことを教えてもらった。模試は、ただ受けるだけではもったいない。弱点の克服に役立つ見直しの方法を知り、実践していこう。
(構成・安永美穂)

苦手の早期発見がカギ

今月は、模擬試験を有効に活用して成績を上げる方法を伝授しよう。

模試の結果が返ってきたとき、キミはどうしているかな? 結果が悪かったときほど「見直したくない」と思うかもしれないけれど、それでは自分の弱点を克服できないままになってしまうよ。

模試は点数に一喜一憂するのではなく、どこを間違えたのかをしっかり見直すことが大切「何が分かっていないのか」を分析し、その苦手分野を重点的に復習していこう。

模試を見直すときは、どこから復習すればよいかの優先順位をつけるために、間違えた問題を①基礎知識があれば解ける問題②基礎知識をもとに論理的に考えていけば解ける問題③マニアックな知識がなければ解けない難問――に分類しよう。そして、まずは①と②の問題の復習に取り組み、余裕があれば③のマニアックな知識も頭に入れるようにしていこう。

まずは基礎固めをしっかり

大学入試をはじめとする試験は、一般的に①と②の基礎知識を使う問題が解ければ合格ラインに到達できるものがほとんどだから、③の難問が解けなかったからといって焦る必要はないよ。模試の復習をするときも、難問に目を奪われずに、①と②の基礎をしっかり見直しておくことが大切なんだ。

①の基礎知識を問う問題については、教科書や参考書を読み返し、太字の部分やポイントとしてまとめられている箇所を中心に、ちゃんと覚えているかどうかを確認しよう。②の基礎知識をもとに考える問題については、模試の問題を見直すだけではなく、解説が詳しい参考書や問題集で同じ分野の問題に取り組んでおくといい。その場合、答えを丸暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」という考え方をしっかり理解しておこう。

 

暗記用の「弱点ノート」を

模試で間違えたことなどを1冊にまとめた「弱点ノート」を作るのもおすすめの方法だよ。このノートを作るときのポイントは「どうしたら覚えやすいか」を考えながら書くこと。英単語を覚えたいなら、ノートの左側に英単語、右側に日本語の意味を書き、中央の線で折って「英単語だけを見て意味が言えるか」を確認する、反対側にして「日本語だけを見て英単語が書けるか」を確認するというように、繰り返し暗記のチェックができるように書き方を工夫しよう。間違えた英単語を10回ずつひたすら書くといった方法は、そのときは書けているつもりでも実際には覚えていないことが多いので注意してほしい。

学校の定期テストでは点が取れるのに、模試になると点が悪くなるという人は、一度覚えたことを定期的に見直す仕組みをつくり、知識を定着させていこう

模試で自分の弱点を早期発見できれば、どの分野を重点的に勉強すればよいのかが見えてくる。受けたままにせず、結果を見直すことで、弱点を克服するチャンスとして活用しよう!

やすこうち・てつや 1967年生まれ。東進ハイスクール英語科講師。自らも「学び方」にこだわって、苦手を克服し、英検1級やTOEIC満点などを取得した。能率を重視した勉強法で多くの高校生を志望大学合格へと導いている。英語4技能試験の普及にも取り組む。