効率よく成績を上げるための勉強の極意を、東進ハイスクールのカリスマ講師・安河内哲也先生が伝授! 夏休みは時間がたっぷりあるからこそ、「何を」「どのように」勉強するかが重要だ。部活や遊びなどの予定と両立できる勉強法のポイントを知り、充実した夏休みを過ごそう。(構成・安永美穂)

薄くて簡単な問題集を選ぶ

自分のペースで勉強を進められる夏休みは、苦手科目を克服するチャンス。1学期に学んだ内容を確実に理解できるように、復習しておくことが大切だ。

苦手科目を勉強するときは、一番簡単で一番薄い問題集を選ぼう。薄い問題集なら重要なポイントを確認する問題が多いから、効率よく復習を進めることができる。目安として、7割は今の実力で解けて、残りの3割を新たに覚えればいいというレベルの問題集を選べば、無理なく勉強を進めていくことができるよ。

英語の場合、もしキミが文法を苦手としているのなら、中学英語の復習から始めるくらいのつもりで、基礎をしっかり見直していこう。ただし、大学入試をはじめとする多くのテストでは読解問題の比重が高いので、文法や単語を暗記するだけではなく、読解問題を解く練習をすることも重要だ。読解問題が含まれている問題集を1冊用意して取り組み、その中に出てきた単語の意味を覚えるというように、実際に問題を解きながら、できなかったところを復習していくことを心掛けよう。

苦手科目は朝のうちに

夏休みは「いつ勉強するか」も重要なポイントだ。一日中ダラダラと机に向かっても、勉強の能率は上がらない。大切なのは、朝のうちに短時間で集中して勉強し、午後からは遊ぶというようにメリハリをつけること。夜に疲れた状態で勉強するよりも、午前中のうちに勉強した方が集中しやすくなるし、遊ぶ時間は勉強のことを気にしなくていいから楽しく過ごせるよ。

苦手科目の勉強は後回しにすると、手つかずのままになってしまうことも多い。勉強するときは苦手科目から始め、その後で得意教科に取り組むようにしよう。「苦手科目に取り組むのは気が重い」という人は、勉強を始める前に軽く体操をしたり、教科書や参考書の音読から始めたりすると、頭を「勉強モード」に切り替えやすくなる。

やるしかない状況をつくる

どうしてもやる気になれない場合は、図書館に行くなどして「勉強するしかない」という状況に自分を追い込んでしまうのも一つの手だよ。夏休みも部活で忙しいなら、部活が始まる30分前に登校して空き教室で勉強するなど、勉強時間をつくり出す工夫をしてみよう。

一人ではダラけてしまいがちな人は、周囲の人の力を借りるという方法もあるよ。毎朝、友達とメールなどで勉強の進み具合やその日の予定を報告し合ったり、家族に「今日はこれを勉強する!」と宣言したりすると、「言ったからには勉強しなければ」というプレッシャーがかかり、やる気が出るはずだ。

夏休みにしっかり復習をしておけば、自信を持って2学期を迎えることができる。勉強するときは勉強に集中し、遊ぶときは思い切り遊ぶというメリハリを意識して、楽しく充実した夏休みを過ごしてほしい!

 
【やすこうち・てつや】
1967年生まれ。東進ハイスクール英語科講師。自らも「学び方」にこだわって、苦手を克服し、英検1級やTOEIC満点などを取得した。能率を重視した勉強法で多くの高校生を志望大学合格へと導いている。英語4技能試験の普及にも取り組む。