13 回目を迎える「高校生地球環境論文賞」の応募総数は618 通。厳正な審査の結果、入賞者が発表された。12 月21 日(土)に予定されている表彰式を前に、最優秀賞に輝いた静岡県立春野高等学校(森林で環境・過疎化改善研究会)の活動の様子を紹介する。

静岡県立春野高校「森林で環境・過疎化改善研究会」 

環境保全をまちづくりの視点から 
森のタウン構想で、過疎化が進むふるさとに活力を

「昨年も応募して落選し、それからはこの賞を一番の目標にして取り組んできました。まさか最優秀賞を受賞できるとは思いませんでした。これまでやってきたことが一つの形に現れてとてもうれしい」と語るのは、岩本大生(ひろき)君(静岡県・春野高校3年)。今回の論文は、個人の活動をより実践的なものにするためにと岩本君が呼びかけて集まった2・3年生7人のチームによるものだ。

 

岩本君は東日本大震災をきっかけに、原発に代わるクリーンエネルギー、特に地元の木材を使った木質バイオマス発電の可能性を探ってきた。メンバーの岩本尚也君(3年)は「地元は過疎化が進んでいますが、山という財産がある。豊富な木材を生かした環境保全の仕組みをまちづくりにまで広げたエコタウン構想を」と考えた。堀内大地君(3年)は「まちの活性化に興味がありました。植物由来の資源を多段階に活用していくカスケード利用を提案したい」。メンバーの意見を共有し合い、論文はそれぞれが専門分野を担当し合って書き上げた。

春野高校のある浜松市天竜区春野町の人口は現在、約5千人。3年生が生まれた頃には約6千人だったというから、18年で1千人が減少したことになる。春野高校も来年度から同じ天竜区の天竜林業高校、二俣高校と統合し、天竜高校春野校舎として新しくスタートする。春野高校として最後の卒業生となる3年生にとって、受賞は大きな喜びとなった。高校卒業後は3人とも環境分野に進学し、将来は社会起業家、環境ジャーナリスト、行政の職員を目指す。「社会人になったら春野に帰って地域のために貢献したい」。力強く語るメンバーの声に、明るい未来を感じた。