高校生になると、友だち同士で恋愛の話をすることも増えてくるでしょう。そんな時、私は少し困ってしまいます。なぜなら私はLGBTQ+のL、「レズビアン」だからです。今回はそんな私がアメリカ留学を経験し、感じたことを紹介します。(高校生記者・ゆうひ=3年)

「男の子が好き? それとも女の子?」

「ゆうひは男の子が好きなの? それとも女の子?」

アメリカ留学中、ホストシスターと恋バナをしていた時の一コマです。私はその言葉に少しドキッとしました。当時、ちょうど「自分はもしかしたらレズビアンかバイセクシャルかもしれない」と思っていたからです。

学校の探究課題でLGBTQ+について調べた友人とプライドパレードに参加。その友人にだけは自分の性的指向について話した

「うん、たぶんどっちも?」と答えると、彼女は特に驚くこともなく「へぇ、そうなんだ」と、普通のことのように返事をしました。その反応に、私はむしろ救われました。

アメリカで自分を肯定できた

「異性愛者であることが当たり前」のように捉えられている日本で生きてきた私にとって、ホストシスターからの質問も、反応も、どれもすごく新鮮で、衝撃を受けたのを覚えています。

アメリカでは、たとえ自分のアイデンティティーが少数派だからといって、自信を失ったり、周りの目から隠れたりする必要はありません。同性のパートナーについて楽しく話す友だちのように、「私だって『普通に』恋愛をすることができるかもしれない」と感じました。

それからの私は、さまざまな出来事を通して、より自分の性的指向を肯定できるように。留学前は自分を「バイセクシュアルかな」と考えていましたが、留学を通して自分はレズビアンの方が当てはまると感じました。

日本では異性愛者のふり

しかし、約10カ月の留学を終え日本に帰ってきた私は、再び嫌な日常に引き戻されました。いくらアメリカではオープンでいられても、いざ長年付き合ってきた日本の友だちを前にすると「異性愛者のふり」をしてしまいます。

「同性が好きだなんて言ったら、みんなどう思うかな? 『キモい』って思われたり、引かれちゃったりしたらどうしよう……」と、恐怖のあまり勝手にストップがかかります。

LGBTQ+の象徴である虹。たまに見えると元気がもらえます

ニュースでLGBTQが取り上げられた時の両親の反応を見ると、両親にもとても話せそうにありません。私はまだ、「異性を愛することが普通である」という、自分の潜在的な固定観念から抜け出せないのです。

自分の心の声を聞いて

この経験を通して、私が一番伝えたいことは「自分が自分の一番の理解者でいること」の大切さです。周囲の環境や人々の考え方を変えるのは容易ではありません。ただ、両親や友だちにカミングアウトする恐怖からは逃げてもいいけど、自分の心の声を聞くことからは逃げないでほしいと思います。

最後に、性的指向とは誰かに決めつけられることではありません。あなたは一人じゃない。自分のペースで、ゆっくりでいいので、みんなが自分のアイデンティティーに自信を持つことができますように。