受験生にとって本番が近づいてきた今が踏ん張り時だ。LINE公式アカウント「高校生新聞編集部」をフォローしている高校生読者から、あれこれ不安で勉強が進まないと悩みが寄せられた。医師として受験生のメンタルケアに取り組む吉田たかよし先生に、集中できないときの対策を聞いた。(安永美穂)

お悩み:勉強に集中できない

 受験が近づいているにも関わらず、ケアレスミスが多くなり焦っています……。採点後に「なんでこんなミスをしちゃったんだろう」と落ち込む日々です。どうすればうっかりミスをなくし、失点を防ぐことができるでしょうか?

「考えないように」すると逆効果

心理学の実験として広く知られているものに「シロクマの実験」というものがあります。この実験では、シロクマの映像を見たあとで「シロクマのことは絶対に考えないでください」と言われたグループの人たちが、他のグループの人と比べて、シロクマの映像を最も鮮明に覚えていたという結果が得られました。人間は「これについて考えないようにしよう」と思っている限り、かえってそのことに強くとらわれてしまいます。

考えないようにすればするほど、考えちゃうものだ

 この実験のようなシチュエーションで、シロクマのことを考えないようにするにはどうすればよいかというと、パンダなど他の動物のことを考えればよいのです。雑念に関しても同様に、「別の思考で上書き」してしまえば、いつまでもその思いにとらわれずにすみます。

3分間の音読で雑念をリセット

別の思考というのは何でもよいのですが、受験生であれば目の前の勉強に集中するのがよいでしょう。おすすめなのは3分間の音読をすること。雑念は左脳にある言語中枢が働くことで悪化するものなので、言語中枢を音読のために使用してしまえば、新たな雑念が生み出されることは少なくなります。

3分間の音読をしたのちに黙読での勉強に戻し、再び雑念がわいてくるようになったら、また3分間の音読をして雑念を追い払いましょう。これをしばらく繰り返すうちに、雑念は浮かびにくくなるはずです。

 

吉田たかよし先生
 よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医師。「本郷赤門前クリニック」院長として、脳科学と学習医学を活用して受験生の心身をサポート。「受験うつ」「受験燃え尽き症候群」などの治療に取り組んでいる。「本郷赤門前クリニック(吉田たかよし院長)」HP
http://www.akamon-clinic.com/

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