俳優の山田裕貴さんに高校生記者がインタビュー。「高校時代の悩みは?」「SNSはどう使ってる?」など、高校生からの質問にたっぷりと答えてもらいました。(取材・渡部采音=高校生記者、構成・中田宗孝、写真・幡原裕治)

「いいね」の数は気にしない

―高校生からの質問です。「山田さんが高校生活で悩んだことはなんですか?」

今振り返ると、高校生のときは、集団の中の自分の立ち位置ばかりを意識しすぎていたように思います。みんなと一緒がいいなとか、クラスの中心になっている人と一緒に過ごせば学校生活を楽に過ごせるなとか。

高校生の多感な時期って、他人の行動が自分のそれよりも輝いて見えていたし、人に合わせすぎた自分がいました。あの当時、自分の個性を伸ばす方向に気がついていれば良かったなと思うことがあるんです。

今、高校生のみなさんには、SNSの「いいね」の数が多い、少ないはあまり気にしない方がいいよと伝えたいですね。

山田裕貴さん(ヘアメーク:小林純子、スタイリスト:森田晃嘉)

―山田さんはSNSでエゴサーチをしますか。

しますよ。「山田裕貴の演技がこうだった、こう見えた」というSNSの声を確認するためにエゴサをしています。自分のお芝居がどういう方たちに、どんな風に伝わっているのかを知りたいと思っているんです。

僕のお芝居がこの人にとって、こんな視点で見えていたのかを自分の中にインプットして、今後のお芝居の中でうまく表現できるように考えています。そんなSNSの使い方をしているので、自分のポストの「いいね」の数は、まったく気にしていません!

「二度と友達には会わない」強い覚悟で上京

―「集団の中の自分の立ち位置ばかりを意識しすぎていた」高校時代とのことですが、人間関係の中での悩みをどのように解消していったのでしょうか。

高校卒業後に役者を目指すために地元の名古屋を離れるときは、「もう二度と地元の友だちには会わない」と心に決めて上京しました。そのぐらいの強い気持ちで夢に向かわないとだめだと思っていたんです。結果的には良い一歩だったし、今の自分につながっていると感じています。

「自分からは地元の友だちに連絡しないぞ」と思っていたんですが、実際には、彼らは頻繁に連絡をくれたんですね(笑)。本当に僕は人には恵まれるなと思いました。高校のときも学校が終わると「今日、『ヤマんち』行っていい?」なんて言い出すやつが多くて(笑)。うん、友だちにはすごく恵まれてます。

「目線の動かし方」を意識

―映画「ゴジラ-1.0」の撮影では、ゴジラの姿を想像しながらの演技が多かったと思います。どのような心構えで演技に臨みましたか。

監督からは「ゴジラが近づいてきて、今、自分の身にとても危険が迫っている状況です」と伝えられるくらいなんです。こんなシーンの撮影では、ゴジラと自分の距離はどのくらい離れているのかを監督に聞くようにしていました。100m先にいるのか、50m、20mなのかと。慌てふためく演技をするにしてもゴジラとの距離感によって変わってくる。遠くにゴジラがいるなら、まだ自由に動ける余地があるなとか考えられます。

共演者の方とは目線の向き先を合わせるようにしました。遠くを見つめるのと近くを見るのとでは、目の動かし方が違う。共演者同士で「演技中はどの辺を見ましょうか?」と声を掛けあい、共通認識を持つようにしたんです。

 

―動作一つにしても細やかに考えながらの演技だったのですね。そんな役者の演技プランと監督の細かい演出が加わって。

いや、今作で言えば、監督からの指示は「擬音」で伝えられる方が多かったんですよ。「ゴジラが街を『ダー!』ってすると、辺りは『バー』となって、『ドーン』って爆発するんです」とか(笑)。「こんな説明で分かるの?」って感じだと思うんですが、僕にはすごく伝わるんです! なぜならゴジラが好きでたまらなくて興奮している監督のゴジラ愛が僕ら役者たちにも届いていたんです。監督のゴジラへの愛情が、役者を突き動かしましたし、そんな撮影現場の熱量そのままのゴジラ映画に仕上がったと思っています。

【取材後記】情熱を持って仕事をしたい

私たちの世代なら幼稚園生の頃から知っている俳優さんだったので、取材前はとても緊張していました。しかし、山田さんが気さくに接してくださったので、リラックスして取材ができました。

高校生記者の渡部采音さん

インタビューからは、山田さんが俳優という職業に情熱やプライドを持って向き合っているということが強く伝わってきました。山田さんがそれまで続けてきた野球ではなく、俳優という職業を志すに至った際の気持ちの変化は、これから進路を決めていく高校生にとってとても参考になると思いました。私も将来は山田さんのように情熱やプライドを持って仕事に向き合いたいです。そして、自分が本当にしたいことができる職業に就きたいです。(高校生記者・渡部采音=2年)

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やまだ・ゆうき 

1990年9月18日生まれ。愛知県出身。2011年に俳優デビュー。主な出演作は、NHK連続テレビ小説「なつぞら」「ちむどんどん」、ドラマ「ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と」、映画「HiGH&LOW」シリーズ、「東京リベンジャーズ」シリーズ、「キングダム 運命の炎」ほか多数。現在、NHK大河ドラマ「どうする家康」に出演中。また、ニッポン放送でオンエア中のラジオ「山田裕貴のオールナイトニッポンX」では、パーソナリティーを務めている。

『ゴジラ-1.0』

(C)2023 TOHO CO., LTD.

命からがら戦争から生還した敷島浩一(神木隆之介)だったが、戦火で両親を亡くし、失意の中にいた。彼は、焼け野原となった東京で大石典子(浜辺美波)と偶然出会い、ともに生活を始める。やがて敷島は、仕事仲間の秋津淸治(佐々木蔵之介)や水島四郎(山田裕貴)らと戦後処理の特殊任務に従事するように。そんなある日、ゴジラが現れ、人々を恐怖のどん底に陥れる。11月3日(金・祝)より全国公開。配給:東宝。

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