俳優の山田裕貴さんに高校生記者がインタビュー。「新たな挑戦をする際に必要な心構えは?」「受験で追い込まれてつらい……」。読者の高校生から寄せられた質問や悩みに、真剣に答えてくれました。(取材・渡部采音=高校生記者、構成・中田宗孝、写真・幡原裕治)

自分の「好き」に向き合って

―高校生からの質問です。「山田さんは中学まで野球をやっていて、高校の時に俳優を目指し始めたとうかがいました。高校生に向けて、新しいことに挑戦する際のアドバイスを教えてください」

僕はプロ野球選手だった父の影響もあって、小3から中3まで野球に打ち込んでいたのですが、ふとした瞬間に「もしかしたら自分が進む道は野球じゃないのかも」と思って……野球は中学までで辞めたんです。僕の場合は、野球を続けているのは、父の背中を追いかけていただけなんだと感じたんです。

山田裕貴さん(ヘアメーク:小林純子、スタイリスト:森田晃嘉)

それからの学校生活では、自分が本当にやりたいことは何なのかを見つめ直す時期でもありました。僕はドラマや映画を見るのがすごく好きだったんですね。「もしも自分が作品を見る側じゃなくて、演じる側だったならどうだろう」。そんなことを考え始めたのが役者を目指すきっかけでした。

新たな挑戦をするとき、自分と向き合うことが大切なのかなと思います。自分が好きなことに向き合ってみる。それがすごく大事。「親しい友だちがやってるから」「憧れるあの人がしているので」という理由ではなく、自分が本当にやりたいことを探してみてください。

後悔は成長のために必要

―続いての質問です。「私は日々の生活で後悔してしまうことがよくあります。どうすれば後悔を減らせると思いますか?」

これは減らないです! 「後悔の念はいつまでたっても減らないものなんだ」と僕は思っています。自分がしてしまった後悔とずっと付き合っていきながら、日々を後悔がないくらい精いっぱい過ごしていく。まっすぐに。

僕だって今も後悔の連続で、それが増え続けているんです。「このときのお芝居はこうすれば良かったかな」「あの演技は違ったんじゃないか」と。お芝居には正解がないので、後悔ばかりの毎日が続いているとも言えるのかもしれない。

一方で「後悔を感じられただけ良かった」とも考えるようにはしています。「今日の演技は良かった!」。そう満足するだけでは、役者として成長できなくなってしまうと感じているから。後悔は自分が成長するために必要なんです。

 

「やるしかない」マインドで

―受験生からも質問が届いています。「受験生で身体的にも精神的にも追い込まれています。山田さんは追い込まれたとき、どうやって乗り越えていますか?」

僕も仕事の分量が多いときは、心身ともに追い込まれるんで、口に出して「無理だ~」ってよく言ってますよ(笑)。好きなゲームをしたり、整体やサウナに行って体をほぐしたりと、息抜きの手段を僕はいくつも持つようにしています。

とはいえ、乗り越えるというよりは「やるしかない」。これに尽きてしまうのかもしれない。僕は追い込まれるのが当然だと思って毎日を過ごしています。それが役者の世界を生きることですから。

受験は、みなさんにとって一世一代の大きな出来事だと思います。身も心も追い込まれるかもしれません。でも自分でやるしかないです! 息抜きも忘れずに(笑)

ゴジラに「テンション上がりっぱなし」

―映画「ゴジラ-1.0」に出演しています。歴史あるゴジラ作品への参加をどのように受け止めていますか。

ゴジラ映画は、幼いころから親に映画館に連れていってもらい観てました。母によると、幼い僕はゴジラが怖くて「早く映画館を出たい……」なんてグズっていたみたいですが(笑)。そんなエピソードがあるくらい、自分の人生の中に当たり前のようにゴジラがいました。

 

役者としてゴジラ映画に出演できる感慨深さはもちろんありますが、それ以上に今作が「日本のゴジラ」を強く示す作品に仕上がってるんです! それが一番うれしいですね。

―ゴジラは海外の映画にも登場していますが、今作は「これが日本のゴジラだ!」という確信があると。

はい。これから今作を体験する方々に「これぞゴジラだ!」と感じてもらえると思っています。僕らがずっと熱中してきた「あのゴジラ」が現れますし、新たなゴジラ像も描かれていて。完成した映像を見て僕自身、もうテンション上がりっぱなしでした。

―今作の舞台は終戦間もない日本。山田さんは、戦争に行かなかった青年・水島四郎を演じます。

戦争に行った人と行ってない人では、戦争の苦しみや悲しみの重みが違うことを理解しなければならないと感じました。戦後すぐの物語なので、なおさら戦争への意識の差は天と地ほどの違いがあったんだろうなと想像できます。

僕が演じる水島は、戦争に参加しなかった人物なので、実際に戦地に赴いた他の登場人物たちと比べると、戦争に対する認識がどこか軽いんです。有名な戦艦の名前を聞けば単純に気分が高揚してしまう様子も描かれていますし。そんな「戦後昭和の現代っ子」のような感覚を意識しながら役づくりをしました。

『ゴジラ-1.0』オリジナルロンTを3人にプレゼント!

高校生新聞編集部LINE公式アカウントとお友達になってから、「ゴジラプレゼント希望」と明記の上、「学校名・学年・性別・記事の感想」をメッセージに書いて送ってね。11月30日締切。応募資格は高校生・中学生に限ります。当選者には編集部からメッセージでお知らせします。

やまだ・ゆうき 

1990年9月18日生まれ。愛知県出身。2011年に俳優デビュー。主な出演作は、NHK連続テレビ小説「なつぞら」「ちむどんどん」、ドラマ「ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と」、映画「HiGH&LOW」シリーズ、「東京リベンジャーズ」シリーズ、「キングダム 運命の炎」ほか多数。現在、NHK大河ドラマ「どうする家康」に出演中。また、ニッポン放送でオンエア中のラジオ「山田裕貴のオールナイトニッポンX」では、パーソナリティーを務めている。

『ゴジラ-1.0』

(C)2023 TOHO CO., LTD.

命からがら戦争から生還した敷島浩一(神木隆之介)だったが、戦火で両親を亡くし、失意の中にいた。彼は、焼け野原となった東京で大石典子(浜辺美波)と偶然出会い、ともに生活を始める。やがて敷島は、仕事仲間の秋津淸治(佐々木蔵之介)や水島四郎(山田裕貴)らと戦後処理の特殊任務に従事するように。そんなある日、ゴジラが現れ、人々を恐怖のどん底に陥れる。11月3日(金・祝)より全国公開。配給:東宝。

(C)2023 TOHO CO., LTD.