進学希望の高校生にとって、気になるトピックスである奨学金。奨学金の種類はさまざまで、どんなものがあるのかわからない!いう高校生も多いはず。奨学金アドバイザーの久米忠史さんが詳しく解説します。(中田宗孝)

「借りるお金」と「もらえるお金」がある

―奨学金の種類を教えてください。

公的機関や民間団体が行う奨学金制度の中で、もっとも利用者が多いのは国の奨学金である「日本学生支援機構奨学金」です。同機構の奨学金には「貸与型奨学金」、「給付型奨学金」があります。

「貸与型奨学金」は、卒業後(または奨学金の受給を終えた時点)に返還の義務が生じる「借りるお金」です。同機構では返還時に利子が付かない「第一種奨学金」、返還時に利子の付く「第二種奨学金」の2種類があります。「第一種奨学金」は無利子ですので、採用されるための成績基準や収入基準は、「第二種奨学金」よりも比較的、厳しい条件が設けられています。ひと月に借りられる金額が多いこともあり、第一種よりも第二種の利用者が多いのが実情です。

第一種奨学金は採用基準が厳しい(『もらえる! 借りる! 奨学金の完全活用ガイド2022』(合同出版)参考)

入学時特別増額貸与奨学金は、進学先の学校の「入学初年度のみ借りられるお金」のこと。返還時に利子が付く一時金で、「貸与型奨学金に増額して借りる奨学金」という位置づけのため、「入学時特別増額貸与奨学金」だけを借りることはできません。必ず「第一種奨学金」または「第二種奨学金」とセットで申し込むのが条件です。

給付型奨学金は、返還の必要のないもらえるお金。詳しくは、こちらの記事で解説しています。

民間の奨学金もある

―日本学生支援機構以外にも奨学金はあるのですか?

都道府県・市区町村などによる「地方自治体の奨学金」、大学・専門学校などが実施する「学校独自の奨学金」、病院などが行う「医療分野への進学者のみが対象の奨学金」、そして「民間団体の奨学金」のように、多くの奨学金制度が存在します。日本学生支援機構のホームページからは、企業や民間団体などが実施する奨学金制度を調べることができます。

民間の奨学金は、7割くらいが返還不要の給付型奨学金。ですが、進学先の大学の指定がある、別の奨学金制度との併用ができないなど、採用されるための条件はそれぞれ異なります。

 
久米忠史さん 
奨学金アドバイザー。株式会社まなびシード代表取締役。奨学金制度のスペシャリストとして、高校・大学で講演、全国各地での進路相談会を年間150回以上行う。最新共著『もらえる! 借りる! 奨学金の完全活用ガイド2022』(合同出版)。ホ―ムペ―ジ「奨学金なるほど!相談所」(https://shogakukin.jp/