審査委員長

鎌倉女子大学 家政学部長
吉田 啓子 教授
 

 

優秀賞 愛知県立豊田工科高等学校
柴田 敦陽さん(1年) 

「80歳、まだまだ頑張り続ける祖父母」へ 「まごわやさしい」弁当

柴田敦陽さん、最優秀賞おめでとうございます。

日々の生活の何げない風景の一場面からストーリーが展開していく、情景が目に浮かぶような作品です。また、お弁当が大変温かく感じられます。家族や自分を大切に想うやさしさと真摯に日々と向き合っている自然体な姿が伝わってきました。

祖父母の家の台所にある「まごわやさしい」の貼り紙、「孫」ではなく「健康と食生活の合言葉」と気づいたときの小さな驚きがそこで終わらずに、身近な人への想いへと繋げられていきます。ひじきの炊き込みご飯の上に、きれいな緑の枝豆、鮭の赤、祖父母の好きな「さつまいも」、自分の好きな「ピーマンのごまおかか和え」、どれもありそうなメニューなのですが、他の誰にも真似ができない、おいしそうで、ちょうどよい量に仕上がっています。

最終審査会の様子

 

 
 
 

審査委員

鎌倉女子大学 家政学部
髙橋 ひとみ 教授
 

優秀賞 東京都立国分寺高等学校
齊藤 美幸さん(3年)

「大好きな幼なじみ」へ 「コロナに負けない!! ピクニック弁当」

優秀賞受賞おめでとうございます。お弁当に込めた想いがあふれ出している作品だと思います。そのあふれた思いがお弁当と文章に表現されていた点が素晴らしいです。「幼なじみだからこそ好みは知り尽くしていています。甘党でカレーは好きだけど辛いのは食べられない」と表現し、料理を工夫してアボカドと卵でまろやかにするという発想、今流行しているフルーツサンドイッチを取り入れることもすてきです。料理の基本は、食べる人の好みを知り「あつらえる」ことです。食べている幼なじみの笑顔が読み手にも感じられ、幸せな気持ちになりました。

また、コロナ禍でカフェに行けないから、カフェのメニューを作り、屋外で食べようと発想もすてきです。どんな環境下でも前向きに過ごしている姿に元気をもらいました。早くワイワイ食事ができる日が来るとよいですね。

審査委員のみなさま
 
 
 

審査委員

鎌倉女子大学 家政学部
山口 真由 講師


 

優秀賞 東京・目黒日本大学高等学校
関根 翼さん(3年)

「世界のみんな」へ 「川崎応援弁当」

神奈川県川崎市は工場地帯として有名であり、また繁華街、そして人口も多く住宅街もあるというイメージはあっても、農業が盛んな印象はありません。それがじゃがいもや防空壕で作った木耳など農作物だけでなく、調味料(醤油)まで川崎産を準備して、このような素晴らしいお弁当を作ることができるとは世界の人はおろか、地元川崎市民ですら思いつかないのではないでしょうか。

今回のテーマである地元の応援をお弁当で表現し、日本に留まらず世界に向けて発信しようという勢いある発想に、いいぞ!いけいけ!とこちらも後押ししたくなりました。そしてなにより、このお弁当は食材が多く、また味つけも重ならないよう工夫が凝らされ、写真を見ただけでもおいしそう!食べてみたい!と強く引き付ける魅力があったことも受賞に大きく貢献しました。これからも地元を推す気持ちを大事にしてほしいと願っています。

特別審査委員の阿部了さん・阿部直美さん
 
 
 

特別審査委員

阿部 了 (写真家)

ANA機内誌「翼の王国」人気No.1エッセイ「おべんとうの時間」著者。NHK「サラメシ」にてお弁当ハンターとして出演中

特別審査委員賞 神奈川・湘南学院高等学校
五島 央稀さん(2年) 

「亡くなったおじいちゃん」へ 「たった一つの弁当」

お弁当はご飯がメインだ、と言わんばかり。ご飯一粒一粒の輝きに、見入ってしまいました。梅干しやごま、漬物など何かしら乗せたくなるのを、あえてご飯だけだったのはおじいちゃんのお好みだったのでしょうか。改めてご飯の存在感、そして美味しさも伝わってきます。ご飯と鳥の照り焼き、ご飯とアスパラ、卵焼き、さぁー次は? 箸が進みそうないい弁当ですね。おじいちゃんの好きなものを知っている五島さんはとっても幸せです。おじいちゃんもその事を喜んでいると思いますが、好みの味、大切な思い出、日々の話が具体的に出てくるともっと良かったと思います。「たった一つの弁当」弁当に限らず全てに当てはまる言葉だと思うので、今回のタイトルを大切に、これからもいろいろな事に挑戦してください。五島さんと大好きなおじいちゃんの顔を思い浮かべながらこの講評を書いています。そして私自身の大好きだった正俊じいちゃんに作る弁当は?と思い浮かべてます。

 
 
 

特別審査委員

阿部 直美(ライター)

ANA機内誌「翼の王国」人気No.1エッセイ「おべんとうの時間」著者。近著「おべんとうの時間がきらいだった」

特別審査委員賞 愛知県立豊橋西高等学校
吉田 龍由さん(1年)

「私」へ 「吉田の元気弁当」

吉田君、高校生活はその後いかがですか? ため息をつきたくなる日だってあるよね。うん、わかる、私もそうだった、と苦いような甘ずっぱいような高校時代の記憶がよみがえってきました。誰かのために作る弁当もいいけれど、頑張れ自分!という弁当だって素敵です。ハンバーグ、こんがり焼けて文句なしに美味しそう。卵焼き、ブロッコリー、ミニトマト、これはもう弁当の王道ですね。ご飯の脇にもハンバーグというのは、自分で自分に作るんだもの、好きだからもう一個入れちゃう、というわけですね。誰かに励ましてもらわなくても、自分で弁当を作って食べて、なんだか元気になっちゃったぞ、というのは最強だと思います。しかも、美味しかったら言うことなし。これから先の人生、きっとどんな状況になっても大丈夫。自分の足で立っていけますよ。まずは自分に笑顔を。次は誰かに弁当を作ってあげてください。吉田君の弁当は、きっと人を元気にするはずです。