今年で10回目を迎えたお弁当甲子園(主催:鎌倉女子大学)。今回は全国302の高校から8,956作品の応募があり、校数・作品数ともに過去最多となった。最終審査会の結果、上位に入賞した作品を紹介する。
※ 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、表彰式は中止とした。

最優秀賞  柴田 敦陽さん(愛知県立豊田工科高等学校1年)

「80歳、まだまだ頑張り続ける祖父母」へ 「まごわやさしい」弁当

祖父母の家の台所には一枚の紙が貼ってあります。そこには「まごわやさしい」という言葉が書かれています。初めて見た時は「孫」である自分達の事かと思っていましたが、後々、日本の伝統的な食材の頭文字を合わせた合言葉だと知りました。食の欧米化が進み、食生活が乱れがちな現代ですが、合言葉を意識して食生活を改善できると思いました。祖父母にはまだまだ元気でいてほしいので、今回「まごわやさしい弁当」を作りました。その中には、少しでも明るい気持ちになってほしいと思い、好物のさつまいもを入れました。また、僕も弁当によく入れているピーマンのごま和えも入れました。この弁当を食べて身体に気を付けてこれからも元気でいてほしいと思います。

 

 

【受賞者コメント】

まずはこのような機会を設けて下さった鎌倉女子大学・高校生新聞の方々、ありがとうございました。今回、受賞できた事を大変光栄に思っています。こんなに大きな賞を頂けるとは想像もしなかったので、驚きと喜びで一杯です。祖父母の家の台所に「まごわやさしい」という紙が貼ってあるので、それをコンセプトにして、食材を集め、料理を決めて、製作しました。「まごわやさしい」という言葉は知っていましたが、意味までは知らなかったので、そこに関して勉強になりました。僕は普段から料理をするわけではないので、食材の下準備が大変でしたが、達成感はありました。祖父母への感謝の気持ちを込めてお弁当を作りました。家が離れており、食べてもらうことは出来ませんでしたが、受賞したことを電話で話すと、とても喜んでくれたので、気持ちを伝えることができて、とても嬉しく思っています。

 

優秀賞  齊藤 美幸さん(東京都立国分寺高等学校3年)

「大好きな幼なじみ」へ 「コロナに負けない!! ピクニック弁当」

「カフェに行きたい!」でもコロナウイルスの影響でそれは難しい。自粛しなければならない。でもおうち時間は飽きた。そんな時には晴れた日に大好きな幼なじみと、ピクニック。幼なじみだからこそ好みは知り尽くしています。甘党でカレーは好きだけど辛いのは食べられない。そんな親友のために作った、アボカドと卵でまろやかに仕上げたキーマカレーとぶどうたっぷりのフルーツサンド。喜ぶ顔が見たくて作りました。カフェに行けない今だからこそ自分たちで楽しめるカフェピクニック。たくさんはしゃいで疲れたら、アルコールでしっかり消毒して、2人でせーの!「いただきます!!」

 

 

【受賞者コメント】

まさか自分の作品が受賞できると思っていなかったので、正直とてもびっくりしています。今回、3年時に選択した家庭科・フードデザインの授業の一環で計画・調理しました。テーマを決めるのにとても時間がかかりましたが、コロナ禍だからこそ楽しめるピクニック弁当にしたいと思い、いつものお弁当のイメージからすこし離れて考えてみました。無数の料理の中からどう献立を立てるかがとても難しかったけれど、作る相手の笑顔が見られると思うと楽しい時間でした。幼なじみの好みに合わせて献立を立てるのも楽しかったです。特に意識したのは、ピクニックなので気分が上がるような見た目に仕上げることでした。これをいい機会に、家族や友達にも、喜んで貰えるような料理をふるまえたらなと思います。

 

優秀賞  関根 翼さん(東京・目黒日本大学高等学校3年)

「世界のみんな」へ 「川崎応援弁当」

私の地元である川崎市を応援する、川崎応援弁当を作りました。材料はすべて地場野菜を使用し、7つの区からなる川崎市を7つの品物で表現しました。中原区産の福来醤油で作った梅と大葉のお稲荷さん。麻生区で採れた防空壕木耳の甘辛煮。多摩区で採れたじゃがいもの朝採れバジル和えなど、川崎市産に拘りました。川崎市産の食材集めから始まり、半日かかったお弁当作りですが、彩りよく作ることができ、川崎市を表現できたと思います。川崎市というと、工業地帯や発展した町と考える人が多いと思いますが、自然豊かでたくさんのおいしい野菜が採れるということをみなさんに知っていただきたいです。ぜひ、川崎の食材を食べてみてください。

 

 

【受賞者コメント】

優秀賞受賞の知らせを聞き、とてもうれしく思っています。学校の授業でお弁当甲子園へ出品する機会があり、やるからには賞を狙いに行く気持ちで取り組みました。地元川崎について、もっと知ってもらいたく、食材や調味料から地元産にこだわってお弁当を製作しました。川崎市産の食材を集めていく中で、様々な種類の野菜が育っていることに気付きました。しかし、それを献立にするのが難しく、彩りや栄養バランス等を考慮するのに苦戦しましたが、上手にできたので良かったです。コンテストを通じて自分自身も地元について深く知ることができ、とても良い経験になりました。このような機会を設けて下さり、ありがとうございました。

 

特別審査員賞  五島 央稀さん(神奈川・湘南学院高等学校2年)

「亡くなったおじいちゃん」へ 「たった一つの弁当」

僕の大好きなおじいちゃんは昨年の八月、老衰のため市内の病院で息を引き取りました。入院してからはご飯を食べることもできず、辛い日々を送っていたことを今でも鮮明に覚えています。なので僕は今回、おじいちゃんが大好きだった献立でこのお弁当を作りました。献立一つ一つに忘れることのない大切な思い出があり、とても懐かしく感じています。天国にいるおじいちゃんがこのお弁当を通じてかけがえのない日々を思い出し、幸せで満たされてくれること。そして、生まれ変わって歩んでいく人生が順風満帆になることを心から願い、「たった一つの弁当」を贈呈したいと思います。

 

 

【受賞者コメント】

「え?、まさか自分が?」これが率直な感想でした。僕は日頃の生活の中で滅多に料理をしないので、自分自身で毎日異なった献立を考えることが苦手です。その上美味しさを求めるなんて自信がない、そう思いながら今回のお弁当甲子園に取り組ませていただきました。お盆の時期に丁度おじいちゃんの一周忌を迎えたので、自分なりにおじいちゃんを偲びたいと思い、このお弁当を製作しました。材料の切り方や味付けの難しさを感じ、日頃お弁当を作ってくれているお母さんへの感謝の気持ちが湧きました。受賞を通して、今まであまり行ってこなかった料理への興味関心を持ちました。またそれと同時に、朝早くにお弁当を作ってくれているお母さんへ「ありがとう」の気持ちを伝えたいです。

 

特別審査員賞  吉田 龍由さん(愛知県立豊橋西高等学校1年)

「私」へ 「吉田の元気弁当」

勉強や部活、人間関係が、周りから見ればうまくいってそうに見えるらしいけど、自分ではまったくうまくいっているなんて思えません。なんだかんだで嫌な思いをして、それを誰かに相談でもしたらいいのにそれができず、結局は自分の中にその思いをとじこめてためこんでしまう。そしてまたそれをくり返してしまう。そんな自分をみかねて作りました。「最近は、どうしてもつらくなってため息をついてしまうね。うんうん、それでいいんだよ。ため息をついたら幸せが逃げていくなんて言うけど一緒に不幸せもでていってくれるんだよ。だから今は、元気をいっぱいたべて、後から幸せをつかまえればいいんだよ。」そんな想いを込めた大好きなハンバーグです。

 

 

【受賞者コメント】

正直に言ってしまうと、実はあまり実感がわいていません。自分はふだんは弁当はおろか、料理をしたりなどはしていなかったので、入賞してうれしいです。学校の課題に、お弁当作りがあったので、どうせなら真剣にやってみようと思い、自らレシピを考えたり、材料を買いに行ったりしました。お弁当の食材を買いに行った時、何を買うか事前に考えていなかったので、ひとつだけ買いそびれてしまい、事前の計画も大切だとわかりました。どんな弁当にするか、何を入れるかや、バランスを考えたりしてみるのも案外楽しかったです。完成した弁当を見ると、達成感がわいてきて、食べるのも惜しくなるほどうれしくなりました。また、その弁当を友達と見せあって楽しむのもまた面白かったです。これからは色々な料理にも挑戦していこうと思います。

第10回お弁当甲子園入賞者

【最優秀賞】
柴田 敦陽(愛知県立豊田工科高等学校1年)
【優秀賞】
齊藤 美幸(東京都立国分寺高等学校3年)
関根 翼(東京・目黒日本大学高等学校3年)
【特別審査員賞】
五島 央稀(神奈川・湘南学院高等学校2年)
吉田 龍由(愛知県立豊橋西高等学校1年)
【入選】
児玉 祐依(愛知県立豊橋南高等学校3年)
細田 晃平(長野県松本美須々ケ丘高等学校3年)
菅原 祥仁(愛知・専修学校東洋調理技術学院2年)
横尾 碧海(静岡・静岡サレジオ高等学校1年)
大澤 里紗(静岡県立榛原高等学校3年)
【佳作】
岡本 璃里子(東京・目黒日本大学高等学校3年)
大下 眞凜(神奈川・桐光学園高等学校2年)
金 慧欣(千葉・渋谷教育学園幕張高等学校2年)
野地 愛希(北海道・北海道文教大学附属高等学校1年)
染谷 美空(北海道・北海道文教大学附属高等学校2年)
小林 嵩明(群馬県立高崎高等学校1年)
橋本 七海(徳島・徳島市立高等学校2年)
石井 夏姫(神奈川県立足柄高等学校2年)
有澤 龍哉(群馬県立高崎高等学校1年)
三嶋 ささ(兵庫・甲南女子高等学校1年)
【学校賞】
東京・目黒日本大学高等学校
神奈川・慶應義塾湘南藤沢高等部
愛知県立豊丘高等学校
【鎌倉女子大学賞】
山形・日本大学山形高等学校
神奈川・湘南学院高等学校
福岡県立香椎高等学校