中学生の部 最優秀賞 独立行政法人国際協力機構理事長賞
輝く世界のために
名古屋市立汐路中学校3年 大石 理紗子

 フィリピンの高校生の「輝く」眼差しが私を変えた。

私は名古屋 YMCA で、フィリピンイロイロ市タンバリザ村の映像を見た。「フィリピンでは一年間大学に通うのに五万五千円程度かかる。しかし奨学金制度を利用して大学に通っ ている学生の総収入は、年間七千円程度だ」という話が印象に残った。名古屋YMCAとイロ イロYMCAではタンバリザ村の高校生が大学に進学できるよう、奨学金制度を設けている。 自分の力だけでは貧困から抜けだすことのできない彼らは、奨学金制度により自分の夢に 向かって勉強できることをとても感謝しながら楽しんでいる。輝いた目をした彼らの写真と共にその事実は私の心を揺さぶった。私はどうだろう。当たり前の様に学校に行き、当たり前の様に高校や大学進学を考えている。そのことが当たり前ではなく、恵まれたことだと意識していただろうか。なんだか恥ずかしくなってきた。同じ学生として何か自分にも出来ることはないだろうか。

私は幼少期から名古屋 YMCA の募金活動に参加していたが、ただ何となく参加していたそれまでとは違う意識で、タンバリザ村の高校生の大学支援やその他の募金活動に参加する ようになった。すると、自分のひとつひとつの呼びかけに、より気持ちがこもるようにな り、気づいたら誰よりも大きな声で明るく呼びかけていた。募金活動を通し、様々な現実、 そしてその力になることに関心を持つこと、持ってもらうことが大切だと痛感した。この経験をきっかけに、生徒会長でもあった私は、中学校で毎年行われる募金活動を、従来の生徒会執行部のみで行うのではなく、全校生徒が誰でも参加できるボランティア型の募金活動とする発案をした。まずは、「何かの力になれること」に関心を持って貰う為だ。すると予想外の数の生徒達が参加してくれた。参加してくれた友人達には、「自分が募金を呼びかける立場にたつと、より関心を持つことが出来るし気持ちも違う。また何か機会があれば参加したい。」と声をかけられた。私は嬉しかった。そして自分から小さな発信をすることが大事だと気づくきっかけになった。

国際協力と聞くと、とても大きなことをするように思える。だが、まだ中学生の私が日 本にいて出来ることは本当に小さい。しかし見方を変えれば、身近にきっかけを作る機会 はあると思う。私はこれからも出来る限りのボランティアと小さな発信を続けていく。その上で大切にしたいことがある。それは現地の人の視点で考え、相手を尊重することだ。 これは JICA 海外協力隊としてジンバブエで活動された、中学一年の時の担任の先生から教えて頂いたことだ。相手の気持ちになって自分が力になりたいという思いやりの心が繋がって行くことで、世界中に笑顔になる人が少しでも増えてほしい。あの日見たフィリピンの子の目の輝きを胸に、両親や周りの人達に感謝しながら世界と繋がっていきたい。