高校生の部 国際協力特別賞
ORIGAMI
横須賀学院高等学校2年 加賀山七菜

「GOOD!!!」色とりどりの駒がクルクル回る様子を友人のベッキーが驚き喜んでいた。私 が作ったORIGAMIの駒だ。

私は物心がつく頃にはベルギーに住んでいた。生後二ヶ月から七歳まで父の仕事の関係 でヨーロッパと日本を行ったり来たりしていた。住んだ国はイギリス、ベルギー、フラン スだ。その他、移動時にはイタリア、スペイン、オランダ、ドイツ、スイスなどヨーロッパを駆け巡り、色々な国の人との交流があった。食べ物の違いや交通ルール、生活する様子を見て、それぞれの国にはそれぞれの文化やマナーがあることを学んだ。

父の仕事に同行することがあり、多くの国の人やその家族と過ごすことが多々あった。 英語、イタリア語、スペイン語と多くの言語が飛び交う中、まったく会話がわからなかっ た。友達はほとんどいなく、遊び相手は姉と日本人の女の子だけだった。私はよく一人で 折り紙を折っていた。折り紙が大好きで、日本から大量の折り紙と折り方の本を持って行っていた。折り紙は日本ではどこでも売っているが、外国では簡単に手に入らない。日本食店で買ったこともあるが、日本の三倍もする値段だから必ず持って行った。そこで「何してるの?」とイギリス人の子が寄ってきた。私は日本ならではの遊びだと知らず、皆が折り紙を知っているものだと思っていたが、初めて見る折り紙にその子は興味津々だった。 そこで定番の鶴を折ってあげた。鶴を折っていく様子に驚き完成した鶴をふわふわと飛ばせて喜んでいた。その時初めて意思疎通ができた気がして、嬉しかったことを覚えている。 会話はなかったが、折っている工程が言語の代わりをしてくれた。片言の英語を交えただ けで、その子は見よう見まねで鶴を折れるようになった。この時に友達になる方法を覚え た。

私は何かプレゼントする時には自分で折った折り紙を添えていた。折る前にメッセージ を書き、ハートを折るのが定番だった。外国人は珍しがり、折り方を教えて欲しいと言われる。その子も折れるようになると、日本の文化を伝えられた気がした。お礼にフランス刺繍を刺したポーチを貰った。フランスに伝わるフランス刺繍はとても繊細でとても綺麗で魅了された。お互いの国の伝統工芸を共有することで、深く思い出に残っている。

折り紙は「ORIGAMI」という呼称が使われているように、海外でも日本の文化であることがわかる。そんな折り紙には沢山の学びがある。集中力を高め、想像力が生まれる。脳を 発達させる効果が期待されることで、子どもの脳の発育をサポートする以外にも、介護施 設で認知症の予防としても取り入れられている。脳の発達を促進させるには指先から刺激を与えることが良いとされ、指先を使う折り紙は遊びながら脳トレーニングを行えるのだ。こんな素晴らしい遊びが日本の文化にあり、日本伝統工芸なのだ。

私は ORIGAMI には人の心を豊かにし、国の垣根を越え、国同士が繋がれる世界に通用す る遊びであり芸術だと思う。そこで私は ORIGAMI の折り方を英訳し、SNSを利用して世界に発信する活動を行った。さらにフランス語、イタリア語、アジアの言語での投稿を思案 している。

世界十九ヵ国に千六百人以上のメンバーがいる、ORIGAMI USA という折り紙愛好団体が ニューヨークにある。「折り紙を折る喜びを分かち合い、歴史を保存し、人々の成長を育み、 紙の中でのコミュニケーションを奨励すること」がミッションという。この様に、ORIGAMI には人と人、日本から発信し世界に広まりつつある。しかし現状はまだまだ知らない人がいる。ORIGAMI には人と人、日本から発信し世界と繋がれる力があると強く推奨したい。