今年は全国300校の高校から7,804作品の応募があり、校数・作品数ともに過去最多となった。秋晴れの中、鎌倉女子大学にて最終審査会が行われ、例年にも増して個性豊かで想い溢れるお弁当作品の中から優秀な作品が選ばれた。
※ 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、表彰式は中止とした。

最優秀賞  荻野 瑛穂さん(奈良・奈良女子大学附属中等教育学校 4年)

「私」から「リモート授業で頑張っている姉」へ 「栄養満点!メンチ”喝”」弁当

コロナ禍で、大学の授業がリモートになった姉のために「栄養満点!メンチ“喝”弁当」を作りました。姉は、家にずっと居るせいかあまり体調がよくないため、食材には安くて栄養価の高いものを選んでいます。例えば、メンチカツには鉄分の多い牛肉と疲労回復効果のある豚肉の合挽を使い、他にも整腸作用のあるゴボウやサツマ芋も使いました。さらに、リモートになってから、毎日夜更かしをしている姉に「喝!」を入れるため、きんぴらに鷹の爪を2本もいれて、激辛に仕上げました。これが「メンチ“喝”弁当」である理由です。だけど、卵焼きはハート型にしてみました。姉の喜ぶ顔と辛さに悶える姿が目に見えるようで、感想を聞くのが楽しみです。

 

【受賞者コメント】

 受賞できたこと、大変光栄に思っております。実感はわいていませんが、先生や友達から「おめでとう」と声をかけていただき、有難く感じております。ただ、男子から「お弁当甲子園」とふざけて呼ばれることがあり、少し気恥しい気持ちです。6歳も離れている姉には、勉強を教えてもらうなど、いつも支えられてばかりですが、そんな姉のためにお弁当をつくり、またそのお弁当で受賞できて、少しお返しができたような気がしています。これからも姉の体調のために、お弁当を作ってあげたいと思います。

 

優秀賞  町田 美央莉さん(東京・東洋高等学校 1年)

「私」から「新郎新婦」へ 「夫婦円満」弁当

私の将来の夢はウェディングプランナーです。新郎新婦の末永い幸せを願って作りました。一つ一つの献立に意味を込めました。かまぼこの紅は魔よけ白は浄化、エビは長寿、豆はマメに生きる、ぶどうはツルが他のものに巻きつき絡みついて実を結ぶというところから「夫婦円満と商売繁盛を叶えてくれる」と言われています。またサンドイッチは「幸せをみんなで分かち合う」という意味が込められているウエディングケーキをモチーフに作りました。結婚式の打ち合わせの時などにこのお弁当を提供して、結婚式に向けてさらに気持ちを高め、人生でたった一度の大きな喜びを噛みしめてもらえたら嬉しいです。

 

【受賞者コメント】

正直受賞できると思っていなかったので、驚きました。とても嬉しかったです。

テーマを決めるのにすごく時間がかかりましたが、自分の納得のいくテーマを思いつき、楽しく制作することができました。今まで、ウェディングプランナーに憧れを持っていましたが、お弁当を作るのにあたり自分で色々なことを調べたので益々興味がわきました。作ることをすすめてくれた担任の先生、機会を設けてくださった、鎌倉女子大学の方々、ありがとうございました。

 

優秀賞  兵藤 緋南さん(愛知・岩津高等学校 3年)

「私」から「人見知りな新入生の子」へ 「一緒に食べよ・・・!!お結び」弁当

「お弁当」という言葉から私が一番に思い出すのは、高校に入学して初めての昼食の時間です。私は人見知りで自分から声をかけることが苦手でした。だから友達できるかな、お弁当の時間に独りだったらどうしようなど不安でいっぱいでした。そんな私みたいな人見知りな子に、お弁当の時間を楽しく過ごしてもらいたいという思いを込めました。おむすびには、素敵な出会いを結んでくれますようにと三ツ葉を結びました。お弁当全体を色とりどりにして食べている人の気持ちが明るくなるようにしました。「一緒に食べよ...‼」と勇気を持って声を掛け、これから始まる高校生活の第一歩を踏み出してくれたらいいなと思います。

 

【受賞者コメント】

 まさかこんなに大きな賞を頂けるとは思ってもみなかったので、驚きとうれしさでいっぱいです。自分の思いをお弁当という形で表現するのはとても難しく苦戦した点も多かったですが、挑戦できて良かったです。コンテストを通して、思いを込めて作るお弁当は素敵だなと改めて思いました。私はお弁当作りを毎日何気なく行っていましたが、また誰かへの思いを込めたお弁当を作ってみたいなと思います。とても良い経験になりました。ありがとうございました。

 

特別審査員賞  沖田 あまね さん(広島・広高等学校 1年)

「私」から「日本食が好きな外国人」へ 「お手軽ぜいたくナスの蒲焼き」弁当

私自身日本食がとても好きなので、手軽に、少しぜいたくな気分を味わえる献立を考えました。日本食に興味のある外国人にもっと日本食を好きになってもらいたい。という想いからひと工夫した料理を作りました。魚が苦手だ、または、魚は少し高くてあまり買うことができないという人のためにナスを使って蒲焼きにしてみました。日本食は見た目もすごく綺麗ということで、色もなるべく沢山用いてお弁当を華やかなものにしました。味が濃くなりすぎないように素材の味を大切にして程良く味付けすることを心がけました。ぜひ、外国の人にも食べてもらって、日本食に興味を持ってもらいたいです。

 

【受賞者コメント】

 まさか受賞するとは思ってもいなかったので、とても驚きましたし、光栄に思っています。外国人に和食を好きになってもらいたいということをコンセプトにしたので、見た目と味により一層こだわってお弁当制作を頑張りました。

賞をもらったことで自分の頑張りが伝わった気がして、とても嬉しく思います。

私は普段料理をすることがほとんどないので、これからはこの賞をもらったことを誇りに思って少しずついろいろな料理を作ることができるようになりたいです。

 

特別審査員賞  西村 帆七海さん(広島・五日市高等学校 1年)

「私」から「母」へ 「いつもの」弁当

私は今回初めてお弁当を作りました。母はお弁当を作るとき、いつも「いつもの弁当」でいいならと一言つぶやきます。そんな母のため日ごろの感謝を込めて作りました。まず、作り始めて分かったことは、母は調味料を目分量で量り入れていたことでした。ろくに包丁も握ったことの無い私でもなんとか作ることができ、かかった時間は2時間でした。作り終えるとどっと疲れが出てきました。母が食べた感想は炒め物は塩が足りない、酢の物は砂糖が足りない、卵焼きは醤油が足りないと散々でしたが、母の「初めてにしてはよくできた。」という言葉と完食してくれたことがとてもうれしかったです。いつもの弁当。私はこの弁当を通して母の偉大さを知りました。

 

【受賞者コメント】

 自分が受賞するなんて思ってもみませんでした。2時間以上苦労して、お弁当を作ったかいがありました。改めて、母親に感謝しようと思います。私が小さい頃から、お弁当の時は母が作ってくれた「いつもの弁当」が、このような賞をいただいけて、本当に嬉しいし、やはり私の母は偉大な人だと思いました。私もこれから、自分の将来のためにすこしずつ自炊を覚えていきたいと思います。今回新型コロナウイルスの影響で、神奈川の鎌倉女子大学までいけなかったのが残念でしたが、来年も挑戦して、もっとステキなお弁当を作りたいです。ありがとうございます。

第9回お弁当甲子園入賞者

【最優秀賞】
荻野 瑛穂(奈良・奈良女子大学附属中等教育学校 中高一貫 4年)
【優秀賞】
町田 美央莉(東京・東洋高等学校 1年)
兵藤 緋南(愛知・岩津高等学校 3年)
【特別審査員賞】
沖田 あまね(広島・広高等学校 1年)
西村 帆七海(広島・五日市高等学校 1年)
【入選】
繁田 香凜(静岡・島田商業高等学校 1年)
水田 志保(福岡・香椎高等学校 1年)
門司 拓也(岡山・岡山大安寺中等教育学校 中高一貫 5年)
國廣 歩花(東京・かえつ有明中学高等学校 2年)
泉澤 真由(神奈川・カリタス女子高等学校 1年)
【佳作】
加瀬 暖奈(千葉・千葉英和高等学校 3年)
金田 菜愛(埼玉・越谷総合技術高等学校 3年)
平野 愛美(神奈川・横浜平沼高等学校 3年)
島田 茜(福岡・戸畑高等学校 2年)
西川 悠香(大阪・大阪教育大学附属高等学校 平野校舎 2年)
千葉 李瑚(愛知・豊橋南高等学校 3年)
髙橋 壱(群馬・高崎高等学校 1年)
志田 花帆(神奈川・横浜サイエンスフロンティア高等学校 1年)
西原 由真(広島・五日市高等学校 1年)
川島 知花(岐阜・大垣養老高等学校 2年)
【学校賞】
神奈川・カリタス女子高等学校
広島・五日市高等学校
福岡・香椎高等学校
【鎌倉女子大学賞】
愛知・豊丘高等学校
愛知・豊橋西高等学校
群馬・高崎高等学校