質の高い研究レポートを目指そう!「歩く・見る・聞く・考える・まとめる」の5ステップ

1)課題を決める

何を研究したいのか、主題を決める。自分が今まで見聞きしたり、体験したりしたなかで興味・関心をもったこと、地域の文化や民話に関する本のなかで興味・関心をもったことを紙に書き出す。いくつもある場合は、紙に書き出したことがらで、似た内容のものをまとめる。2つか3つに絞れたら、あとはどれにするか決断する。

2)課題が決まったら下調べを始める

まずは課題に関する図書、インターネット上のファイルから、課題に関する情報を集める。たくさんの情報が集まったら、情報を区分し、同類の情報をまとめる。

3)課題への取り組み手順を考える

  1. ①今までの研究がどのように行われ、どのように説明されているかをまとめる。
  2. ②まとめた従来の研究を検討して、自分 自分たち の研究では何をどのように調べるのか計画を立てる。
  3. ③現地調査をどのように行うのか計画を立てる。
  4. ④まとめの方法を考え、仮の目次をつくってみる。

 

4)現地での調査を行う

  1. ①どこに行って何を調べるのか明確にしてく。【ポイント】当事者にインタビューをする場合は、事前にインタビュー内容を考え、相手に伝えておこう。
  2. ②祭りや芸能などの場合は、どのように行われているのか、できるだけ詳細に記録する。【ポイント】開催される時期・日時を確認、写真を撮影したり現場の地図や図を作成しよう。
  3. ③実地での見学や観察したことをもとに、関係者から内容を聞く。【ポイント】事前に予約して行くことが大切。

 

5)下調べしたこと、現地での調査結果からリポートの目次を立て直す

  1. ①あらかじめ作ったリポートの目次を、調査資料をもとにして再度、作りなおす。
  2. ②行き当たりばったりの「まとめ」ではなく、どのようにまとめるのか明確にする。
  3. ③目次を立て直すなかで、リポートで主張したいことを明確にする。【ポイント】「まとめ」の主張は、あれもこれもではなく、「何を言いたいのか」はっきりさせて取り組むことが重要。

 

6)「まとめ」の原稿を書いてまとめる

  1. ①立て直した目次に従って、原稿を書く。【ポイント】分担執筆の場合は、章単位で分担しよう。
  2. ②「何を言いたいのか」に基づいて、どのように図表や写真を使うのか、原稿を書きながら決める。
  3. ③原稿を書き終わったら、読みなおして推敲する。「まとめ」の推敲は責任者を決め、訂正 などを判断する。【ポイント】分担して執筆した場合は、分担ごとに内容に齟齬がないか確認しよう。
  4. ④推敲が終わったら、原稿に図表、写真を入れて編集し、見やすいようにデザインする。
  5. ⑤できたリポートを第三者に見てもらい、課題タイトルと内容に食い違いがないか、何を言いたいのか主張は明確か、主張は内容 調査結果 に基づいている か など 、 第三者から評価を受け、必要に応じて書き直す。
  6. ⑥出来あがったら表紙をつける。【ポイント】課題名、執筆者名、完成年月日などを忘れないようにしよう。
 
【小川直之】
國學院大學文学部日本文学科教授。研究分野は民俗学で、国内のみならず海外でも日本の民俗文化を数多く講じている。現職として中国・南開大学で客員教授を務めるほか、インド・ジャワハルラルネルー大学の客員教授などを歴任。著書に『折口信夫 死と再生、そして常世・他界』『日本の歳時伝承』(角川ソフィア文庫)などがある。