あなたは普段、どこで勉強しているだろうか? 学校や予備校の自習室? 自宅の自分の部屋という人も多いだろう。では、そこにはどんな照明がついているか気にしたことはあるだろうか? 明るさや色など、勉強に最適な照明があるかどうか、東海大学工学部建築学科の岩田利枝先生に話を聞いた。

集中したいときにおすすめの照明

「~にいい照明」という言葉をよく聞きませんか? ちょっと前までの蛍光灯や白熱灯は、「つける」か「消す」かだけでしたが、LEDが開発されてから、光の色や量のコントロールが簡単にできるようになりました。今では、人間の目では見分けられない波長の調節もできるようになっています。技術の進歩にともなって照明の研究が進められ、2000年代に入ってから新たにいろいろなことがわかり始めてきたのです。

なかでも人気の研究テーマは、「勉強や仕事の効率が上がる照明」です。さまざまな実験が繰り返され、一般的に青みの強い光(色温度が高い)は気持ちを集中させる作用があり、赤みの強い光(色温度が低い)は気持ちをゆったりさせる傾向があることが分かってきました。ただし、まだまだ分かっていないことが多いうえに、明るさや光の色には個人の好みがあり、目から受ける刺激に対しての感覚も人それぞれ。勉強の時には、こういう光をこのくらい当てると効率がいい、というふうに一概には言えないのが現状です。

誰でも勉強する時と食事の時、寝る時など、シチュエーションによって快適な明るさは違うはずです。大切なのは、自分の好みや心地よさを考えてみることだといえるでしょう。

 

 

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目が疲れてきたときは明るさを調節

また、長時間勉強を続けていて目が疲れてくる、ということもあると思います。原因として考えられるのは、照明の明るさです。明るすぎても暗すぎても、目が疲れやすくなっていきます。「明るいな」と感じる場合は、照明の明るさや青みを抑えてみるのがいいでしょう。逆に、手元が暗すぎるという場合は、部屋全体の明かりの他に、周囲よりも明るめの手元照明(デスクライトなど)をプラスするのがおすすめです。

照明研究の未来は?

私の研究室でも光の強さや色と睡眠、疲れ方、記憶力などの関係について実験や研究を行っています。

近い将来、「テストの点がアップする照明」や「数学や英語、国語などの科目別の照明」「疲れが取れる照明」などが開発できるかもしれません。ただし、はじめにお伝えした通り、「色」「量」「波長」といった観点での照明の研究はまだ始まったばかりです。

光をうまく調整すると睡眠の質が上がるなど、私たちの生活にも大きな関係があるなど、やっぱり身近で大切なことが分かってきた「照明」について、皆さんも一緒に研究してみませんか。

★今回お話を伺った先生/岩田利枝先生(東海大学工学部建築学科)

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