交通機関やインターネットの発達は、世界中の人やモノ、お金をつなげ、遠くのものを身近なものへと変化させた。そしてそれは私たちの生活にも大きな影響を与え、誰もが気軽に世界中の人とつながることができるようになったといえる。

ビジネスの場面も大きく変化している。観光業や小売業の一部は、年々増加する訪日外国人に支えられているし、メーカーなどの大手企業は工場や支社を海外に置き、世界的な規模で事業展開を図っている。国内の企業でも、外国人とともに働くケースが増えてきた。英語を社内公用語とする企業や、職種によってTOEIC®での基準を設けるなどの取り組みをしている企業もあり、国内といえども世界とのボーダーレス化が進んでいる。

そんな中、グローバル人材の育成を目的とした学部・学科の新設、カリキュラム再編などが相次ぎ、大学教育の変化も著しい。もともと帰国生や留学生を対象としたグローバル系学部や外国語に力を入れる学部はあったが、最近は日本語を母語とする学生のために、キャンパス内に国際的な環境を作り、すべての授業、または一部の授業を英語のみで行う学部・学科が増えてきた。

共通する目的はグローバル人材の育成だが、国際性や多様性、異文化理解を身につけながら、英語はあくまで「ツール」として学び、英語とは別の専門科目を学ぶ。

英語で何を学ぶのかは大学や学部・学科によって異なる。国際政治や国際関係、国際経営などに特化する大学もあれば、リベラルアーツといって、さまざまな学問領域を学び、幅広い教養を身につける学部も増加している。

こうした学部・学科の留学プログラムは、留学生だけで学ぶ語学留学と違い、専門分野を現地の学生と一緒に学ぶプログラムが多い。かなりハードルが高いので、留学するまでに英語の4技能「読む」「聞く」「話す」「書く」を相当高める必要があるが、そのためのカリキュラムも充実している。

英語はもはや基本的なスキルであり、それに「+α」で何を学ぶかが問われている時代になってきていると言えるだろう。

語学・国際系学部の学び

●語学系学部とは

語学系学部の場合、言語は英語が圧倒的多数だが、他にもドイツ、フランス、ロシア、スペイン、中国、韓国等の主要言語を学ぶ学科を設置する大学もある。また、それ以外の言語の場合、コースや第2外国語として学べるケースも。

文学部の外国語専攻では、その国の文学作品の解釈、論評、背景等を原書の輪読を中心に学ぶのに対して、外国語学部では、言語の習得や人文社会系の知識、歴史・地理的背景等を学ぶ。また、両方が融合したような学科もある。英語コミュニケーション学科のような学科も最近は多く、言語を学びながら同時に文化や観光学、メディア学など学べる学科・コースもある。

●国際系学部とは

「国際」がつく学部・学科は年々増え続け、国際、国際政治、国際環境工、国際教養、国際社会、国際文化、国際経営など多岐にわたる。いずれもグローバルな視点で専門分野を追究する内容で、その学問系統は「人文科学系」と「社会科学系」とに分けられ、世界を舞台に活躍できるよう語学力の向上にも力を入れている。

留学を推奨し、その制度も豊富だ。専門科目を英語で学び、海外留学を義務付けている場合も多く、その場合は提携校へ留学すれば、留学先での取得単位が卒業単位として認定され、4年間で卒業できるケースが一般的である。大学によって留学制度は異なるので、費用のことも含め、よく調べておくことが重要だ。

大学の研究室をのぞいてみよう!

これらのことが学べる大学の研究室を取材した。大学や学部によって学べる内容が違うので、自分が学びたい分野は何かをしっかりと見極めたうえで大学・学部の選択を行おう!

立教大学経営学部国際経営学科 松本茂教授、ダグラス・シュールズ准教授

・関西外国語大学外国語学部 長井聖子教授

・早稲田大学国際教養学部 池島大策学部長