ここでは、昨年、1,088作品の中から大賞にかがやいた作品をご紹介します。第1回「女子高校生エッセイグランプリ」のテーマは「夢」。亡き幼なじみにむけた想いを手紙にしてくれました。
 今年のテーマは「感謝」。みなさんもこの機会に「感謝」を伝えたい誰かに向けて想いを伝えてみませんか? 今年の〆切は2018年11月30日(必着)。みなさんのご応募、お待ちしています。(応募要項はコチラから!

【大賞】手紙部門 触れることができない君へ 約束の報告を。

呉市立呉高等学校3年 德丸 実莉

幼馴染の泣き虫悠へ

約束を叶えました。君と私が結んだ最期の約束がこの春、叶いました。

生まれた時から気づいたら一緒にいた君と、いつも遊んでいた場所だった家の裏山にある桜の木、覚えてますか?
 私が木に登ると、見つかったら怒られちゃう!なんて言っていつも泣いていた悠。
 そして私が木から落ちると、木から落ちた私のほうが痛いはずなのに、私よりも悠のほうが大声で泣くから結局お母さんに見つかって、そのあと二人で大説教されたことがあったっけ?

男勝りな私と、男なのに泣き虫な悠。それをずっと見守ってきてくれた桜の木。
 いつしか私たちは桜の木に二人だけの秘密の名前をつけたよね。

そして月日が経ち、君の持病が悪化して家にいるより病院にいる時間のほうが長くなって君と春に連れ咲かなくなっていた桜の木。
 君の病名を知った同じ頃、私は庭師さんから桜の木の病名を伝えられました。

桜の木が病気であることを知った君が、また泣きそうな顔をするから私はその時に約束したんだよ。「絶対に私が桜の木を救って見せるから」って。

報告するのが遅くなってごめん。だから私はここで最後の約束がかなえられたことを天国にいる君に伝えます。
 桜の木は庭師さんから教えてもらったように世話をしてたら今年の春、いくつかの枝に蕾が咲いてました。来年はもっと咲くらしいよ、だから天国から見に来てね。

そして私は桜を治療することで植物に触れる温かさを知ったよ。だから私は植物関係の仕事につくために今年、農学部のある大学を受け、見事合格することができました。
 この夢は大好きな悠との約束があったから、見つける事、叶えることができた。
 今でもずっと悠との約束が私の中で夢となって生きている。  

これから私は夢をかなえるため頑張って生きていきます。
 どうかその場所から見守っていて。

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