独立行政法人国際協力機構理事長賞

小さな私にできること

滋賀県立守山中学校 2年 脇 捺夢

 

日本にも、ほんの2、3年前まで、ポリオという病気になる可能性があったことを、あなたは知っていますか。

ポリオとは、ウイルス性の病気で、感染すると後遺症で麻痺が残ったり、最悪の場合は死に至ったりすることもある病気です。また、歳をとるとポストポリオという病気になり、麻痺が悪化することもあります。ポリオはまだ世界で流行している国があり、たくさんの人が苦しめられています。

現在、国連や政府がポリオの撲滅に向け、感染を防ぐためのワクチンをパキスタンなど、野生株のポリオが存在する国に届けています。

一方、日本でも国内から新たなポリオ患者を出さないという活動がありました。数年前まで、日本での主なポリオの感染経路は予防接種によるものでした。以前、日本では生ワクチンという、発症率は100万人に2~4人とされたものを使用していました。発症率が低いとはいえ、発症者はいます。犠牲者が一人でもいていいのでしょうか。

私にはポリオの生ワクチンの予防接種を受けたときの副作用で、ポリオを発症し、右足が麻痺した弟がいます。弟の右足は今も不自由なまま、一生治ることはなく、いつかポストポリオになるかもしれないという不安を感じながら生活を送っています。弟が予防接種を受けた時、世界では予防接種でポリオを発症することはない不活化ワクチンを使用している国がたくさんありました。しかし、日本では必要性が叫ばれてから、何年も取り入れられませんでした。そこで、ポリオに感染し、後遺症と闘いながら生きている人たちが署名活動を行いました。

小学生だった私は、署名なんかで国を動かせるわけがない、と思っていました。しかし、それは私の思い違いだったのです。まず私の家族は、周りの知人に思いを伝え、協力を求めました。すると、その知人達がまた他の人に思いを伝え、それを知った人がまた他の人に思いを伝えてくれたのです。そのおかげで、署名はみるみる集まり、最終的に全体で4万人以上の署名が集まりました。そして、署名が国に提出されてから2年後、国の対応としては異例の速さで、不活化ワクチンが日本で導入されました。このことから、始めは小さな声だとしても、いつかは大きな国を動かす力にもなるということを学びました。

今、私が未来の地球のためにできることは、ポリオという病気のことを知らない人に伝えることです。まだ、海外では野生株のポリオのウイルスが存在しています。日本でも再び流行する恐れがあるので、ポリオを世界から撲滅させなければなりません。だから、これ以上ポリオで苦しむ人を増やさないために、弟のことを通じてポリオを一人でも多くの人に伝えていきたいと思います。一人一人が知って伝えることで、きっと世界は変わります。

 

 

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