短篇小説の部 受賞者インタビュー

最優秀賞 『歓声.mp3』 

北海道札幌啓成高等学校  西尾 実優さん     作品はこちらからご覧いただけます

 

―受賞した感想を教えてください

昨年に引き続き、このような賞を頂けて大変嬉しい限りです。
今年は色々と忙しかったこともありあまり作品制作に時間をかけることが出来ず、そのため手応えも薄かったので、通知を見た時は思わず大声を出してしまいました。
この作品は今年の春、部活動の大会に向けてラジオドラマを作成した経験が元になっています。引退を控え、最初で最後のドラマを作成するに当たって「私が脚本書くよ」と言い出すことができたのは、コンクールを経て得られた少しの自信が大きかったように思います。
私は三年生なので来年以降は高校生限定のコンクールに参加することが出来なくなりますが、進学した先でも趣味として続けていたら嬉しいです。
自分の作品に関して、まだまだ未熟で時に恥ずかしくなることもありますが、自分が抱えている表現の弱点を克服したり幅を広げたりして、一瞬一瞬の感動をもっと上手く伝えられるようにしていきたいです。
高校生限定のコンクールはチャンスがわずか三回しかありません。文芸に関わらず、挑戦するか迷っている人はとりあえず出してみるというのも手だと思います。初めは納得がいかなかったとしても、他人ウケより自分ウケの気持ちで、まずは楽しんで取り組んでみてください。

 

―このコンテストに応募しようと思った理由を教えてください

高校一年、二年とずっと出し続けていたので、「今年で最後だし、高校3年間毎年応募したことにしたいな~」と思って応募しました。

 

―受賞作品の誕生秘話(こんな場面で思いついた など)や込めた思いを教えてください

三年生に進級して、部活動の春の大会でラジオドラマを作成したことがきっかけです。
脚本は今までずっと部内選考で落ち続けていたのですが、先輩が卒業して人手が足りなくなってきていたのもあり、今年は「やりたいからやっていい?」といった感じですんなりやらせてもらうことができました。ラジオドラマを作りたかった理由は、脚本を書きたかったからというのが大きいです。
私は二年生の秋まで朗読部門で出場し続けていましたが、自分に向いてないなとずっと思っており、実際に結果もあまり良くありませんでした。しかし、表彰式の度に壇上で賞状を受け取ることを諦められず、思い切って最初で最後のドラマ制作に踏み切りました。
番組部門に関わったことはないので、過去のデータを漁ったりYouTubeで他校の作品を聞いたりして手探りでなんとかやり切りました。
もちろん脚本一人ではドラマにならず、八分のドラマが完成するのに十人近くの部員が関わっています。何回も録りなおしに付き合ってくれたり、脚本にアドバイスをくれたりして、非常に助かりました。作品本文にも書きましたが、私が雨の音を入れたり足音の音を入れることで世界が出来上がっていくのが楽しかったです。
その結果、三年間で初めて全道大会に出場することができました。全国大会までは行けなかったのですが、北海道の高校が二つの部門で全国優勝していて嬉しかったです。

 

―受賞作品の創作にあたって、工夫したこと、苦労したこと、楽しかったことをそれぞれ教えてください

コロナが明けてから大会がリモートではなく現地開催(市民ホールなど)になったのですが、生徒同士が他校の技術について質問をしに行って良い時間があるんです。
私はもう座席から絶対に動かないのですが、順位予想とかどこの高校のどの作品が良かったとか、そういったのが聞こえてくるんです。順位発表前のあのドキドキする感じをどうしたら出せるかな、と悩みました。

 

―受賞作品の創作を通して、得たことや成長したことがあれば教えてください

昨年も自分の経験から作品を書いた気がしますが、その作品の主人公は過去に囚われていたのに対し、今年の主人公は自分のやっていることに自信を持ち将来を見ている点で見方は成長したのかなと思います。
また、今年は作品を出すかどうか迷っていたのですが、とりあえずやってみなきゃ得られるものもゼロだ!と思い応募しました。普段から実践できてるかと言われると微妙なんですが、「とりあえずやってみる」ことは大事なんだなあと思いました。

 

―創作活動は日頃から行っていますか?

はい

 

―創作活動に興味がある人、創作活動を始めようとしている人へアドバイスをお願いします 

初めは惹かれたものの影響を強く受けすぎていたとしても、何度かやっていく中で自分なりの魅せ方が分かってくると思います。
きっかけはなんでもいいです!あの時のことを忘れたくないとか。単純に青春小説が好きだとか、そういう些細なことからでもいいので、今興味がある人はぜひ創作活動を初めてみてほしいです。

 

★応募に関する情報は、応募概要ページでご確認ください。

<応募者必見> 
★受賞作品を読んでみよう
  短篇小説の部 ・ 現代詩の部 ・ 短歌の部 ・ 俳句の部
 
審査員を務める 中村航​先生、井上孝雄先生からの一言アドバイス