審査委員長

鎌倉女子大学 家政学部長
大石 美佳 教授
 

最優秀賞  東京都・東洋英和女学院高等部
長谷 波奈さん(3年)

「視覚に障がいのある友人」へ 「全部食べられるバリアフリー弁当」

長谷波奈さん 最優秀賞おめでとうございます。
 お弁当の時間。目を閉じてみる。何が入っているのかわからない。ぎゅっと詰まって食べづらい、そしてたしかにプチトマトは難しい… 。視覚障がいのある人にとってのお弁当がこんなにもバリアフルであることにはっと気づかされました。
 「日常の食事はいかに工夫が必要かということを伝え、みんなの理解を深めたい、友人もきっと喜んでくれる」。その想いと願いが、海苔のカップやパスタのピックなど、一つ一つの配慮と工夫から伝わってきました。気づきと優しさに満ちたバリアフリー弁当ですね。
このお弁当は第一作目、これからもおいしくて食べやすいバリアフリー弁当を一緒に食べながら、お互いの理解をさらに深めていかれることでしょう。
 長谷さんの人を想う優しさと日常のバリアに気づき、挑戦するチャレンジ精神、とても素敵です。これからも大切にしてください。

 

審査委員の皆様

 
 
 

特別審査委員

阿部 了 (写真家)

ANA機内誌「翼の王国」人気No.1エッセイ「おべんとうの時間」著者。NHK「サラメシ」にてお弁当ハンターとして出演中

特別審査員賞  茨城県・水戸女子高等学校
磯﨑 柚那さん(2年)

「天国にいる母」へ 「私も作れるようになったよ弁当」

弁当の写真に見入っていた。そして「これだよ、これ」と何度も頷いた。シンプルメニューだけどひとつひとつ丁寧に作ったおかずがひとつひとつ大切に詰められ、ごはんのごま塩もゆっくりと優しく振りかけた様子が伝わってくるのである。
 そして文章へ。お母さんが作ってくれたお弁当の卵焼きや、ウインナーの塩胡椒、そしてささみ肉の衣焼きなど、それぞれの味を思い出しながら柚那さんが一生懸命弁当を作っている様子を感じながら、何度も頷きながら読ませてもらった。
 そしてまた写真に見入ってから、想いを読むを何度か繰り返し、ずっと見ていたくなる。それは弁当、写真、文章、三位一体で、まさしく等身大の柚那さんそのものが表れているからであろう。天国にいるお母さんも安心したと思います。私もなんだか嬉しく安心感でいっぱいです。「ずっと見守っているよ」

 

 
 
 
 

特別審査委員

阿部 直美(ライター)

ANA機内誌「翼の王国」人気No.1エッセイ「おべんとうの時間」著者。近著「おべんとうの時間がきらいだった」(岩波書店)

特別審査員賞 東京都・広尾学園高等学校
阿部 咲也香さん(1年)

「私から妄想彼氏」へ 「リア充には負けん!弁当」

届きましたよ、その思い。笑わせてもらいました。たくさんの応募作品のなか、文章でぐいっと心を掴まれました。16歳の夏の一日が目に浮かぶようです。遊園地デート中の友達へのモヤモヤを原動力に、お弁当作りを思い立つところが可笑しいです。それも、妄想彼氏のためとは。作るうちになんだか楽しくなってきた様子が、ケチャップの文字に現れていますね。読んだ後に、もう一度よくお弁当の写真を眺めました。ハンバーグや野菜には、何もつけない派なんだろうか? いや、忘れたのか。「あれ?味しないねー」「あはは、素材そのものを味わって欲しかったんだ」「ああ、そっかー」なんて状況を勝手に想像し、いやだ、私のほうも妄想している、と苦笑いしてしまいました。咲也香さんはきっと、どんな事でも前向きに捉えて楽しめる人なんだと思います。高校生らしい爽やかさを感じたお弁当でした。次はぜひ身近にいるリアルな誰かのために、お弁当を作ってあげてください。

 

特別審査委員の阿部了さん・阿部直美さん

 
 
 
 

審査委員

鎌倉女子大学 家政学部
髙橋 ひとみ 教授
 

優秀賞 山梨県立上野原高等学校
牧野 心汰さん(1年)

「姉」へ  「応援ありがとう!無事受かったよ弁当」

姉弟の素敵なやり取りに思わず、笑みがこぼれました。このコンクールでは、食す人に向けた思いが、どのようにお弁当の形になっているかということが大きなポイントになります。昨年、お姉さまが「片目だけのだるま」で弟に受験合格を祈り、そのお礼に「目の入っただるま」をお返しする。手紙の返信のようで、思いが通じ合う嬉しさを感じます。合格のお礼のだるまも、凛々しくそしてどこかチャーミングさを感じます。
 また、たまご焼きとアスパラベーコンは、お姉さまに作り方を教えてもらって作られたのですね。お弁当作りを通して姉弟のコミュニケーションも増えることはすてきなことだと思います。また、お姉さまにこっそり女子力をアップして欲しいという願いを料理に入れるところも完璧な弟だと思います。どうぞいつまでも仲良くなさってください。

優秀賞 群馬県立高崎女子高等学校
奥田 羊歩さん(1年)

「花屋を目指すいとこ」へ  「常に前進弁当」

「お花がいっぱいの可愛らしいお弁当」が第一印象です。花を料理で表現する方法は限りなく多くあると思います。それをお弁当の受け手の好物のサンドイッチで表現されたところが素晴らしいと思います。花にはそれぞれ「花言葉」があります。お弁当に入れられた花のメッセージが、ガーベラの「常に前進」、デイジーの「希望」、ムスカリの「明るい未来」でひとつひとつのメッセージから送り手の愛情を感じます。また、受け手のいとこの方もどの花も花の名前を当てられる感性と知識を持っていらっしゃったようで、同じお弁当を別の方に送っても気がつかないかもしれない、お弁当の作り手と受け取り手のすてきな関係がわかるエピソードです。お弁当を食べたいとこの方の夢が叶い、花いっぱいの花屋さんが開業することを祈っています。

 

 
 
 
 

審査委員

鎌倉女子大学 家政学部
山口 真由 講師
 

優秀賞 福岡県立東筑高等学校
大谷 拓人さん(1年)

「ジビエを知らないみんな」へ  「特製ジビエ弁当」

この度は優秀賞受賞、おめでとうございます。
『特製ジビエ弁当』 見た目はシンプルではありますが、シカソーセージが普通のソーセージとは違って色や質感が特徴的です。お弁当の下の敷物は鹿でしょうか。主張激しめのランチョンマットがお弁当の存在感を強めていますね。ジビエは解体処理の仕方で美味しく食べられるか生臭くなるか決まるとのこと、絶品のジビエ料理を日常的に食べられるとはなんとも羨ましいですし、ジビエ料理がおふくろの味、なんてちょっとカッコいい響きです。高校生ですとまだジビエを食べたことがない人が多いかもしれません。このお弁当をきっかけにジビエを初めて知った人、ジビエに興味を持ち、いつか食べてみたいと思った人もいることでしょう。このお弁当甲子園によって『もっとみんなにジビエを知って食べてほしい』という思いが全国の高校生に伝わったのではないでしょうか。

優秀賞 山形県・日本大学山形高等学校
島田 哲平さん(2年)

「将来の彼女」へ  「初めての彩りおにぎり弁当」

この度は優秀賞受賞、おめでとうございます。
 妄想から生まれた『初めての彩りおにぎり弁当』、とにかくおいしそうです。普段からご家族の方が料理しているところを手伝ったり、このように美しく盛りつけられたお弁当を食べたりしているからでしょうか。このお弁当は初めて一人で料理をしたとは思えない出来栄えです。そして彼女にお弁当を渡すシチュエーションも完璧。公園でお弁当箱を開いた瞬間、『食べるのが大好きな彼女』が歓声をあげて喜び、何度も「おいしい!ありがとう!」と言いながら、おにぎりを頬張る様子が目に浮かびます。そして、笑いながら優しい眼差しで彼女を見つめる彼・・・つい、私も妄想してしまいました。一刻も早く妄想が現実になる日がくることを願っています。

 

審査風景

今年もたくさんのご応募、誠にありがとうございました。
来年も開催を予定しております。素敵なお弁当に出会えることを楽しみにしております。