清水菜生さん(山梨・北杜市立甲陵高校3月卒業)の写真作品「be a princess」を紹介します。スマホを持つ女子高生の後ろに写る影は、プリンセス? そんなロマンチックな光景を撮影したこの作品は、全国高校総合文化祭(紀の国わかやま総文2021)の写真部門に出展されました。

be a princess(第45回全国高等学校総合文化祭 紀の国わかやま総文2021 写真部門出展)

「お姫様になりたいの」思いを形に

―作品のテーマを教えてください。

私には「見る人にハッピーを」というポリシーがあります。若い世代が希望を持てるような、大人の方々には童心に帰っていただけるような、皆さんの心にポッと明かりをともす作品をと、願いを込めて制作しています。夢の具現化といったところでしょうか。

特に「be a princess」は顕著に私のポリシーが表れている作品だと思います。着想はコミュニケーションの中で得ています。私は日頃、母が経営するペンションで手伝いをしており、幅広い年代の方と交流するため、そういった方々から伺った夢や思い出をテーマに起用させていただいています。

今回の作品の着想は「お姫様になりたいの」と目を輝かせていた小さなお客さまからいただきました。

―こだわったり、工夫したりしたポイントは?

モデルの後ろにある黒い影は、画用紙で制作しています。モデルの身長を計算しながら影に見えるように工夫しました。

そして「日頃まとっている雰囲気が写真に合う」友人をモデルにした点がこだわりだと言えると思います。ちなみに背景のプリンセスも、モデルの子が一番憧れる容姿にしました。

作品作りは母と二人三脚

―何が難しかったですか?

田舎に住んでいるため、材料が見つからずに苦労しました。結局大きな画用紙はどこにも売っておらず、何枚かの画用紙を丁寧に接着したのを覚えています。

大きな絵を描くのもはじめてだったので、とても難しかったです。何度も線を描き直して、スタイルのいいプリンセスになるように頑張りました。

画用紙で制作した影は身長より大きい

自分の身長よりもだいぶ背の高いプリンセスが出来上がったので、すごく達成感がありました。

―撮影中のエピソードを教えてください。

私は母と二人三脚で作品を作るのですが、制作前に母に作品の完成予想図を伝えるのに試行錯誤したのを思い出すと笑えてしまいます。

非現実的な作品のため例を挙げることも難しく、イラストを描いたり画像でシミュレーションしたりしました。語彙(ごい)をはじめとしたさまざまな表現力を鍛えられた気がします。

メッセージ性の強い作品のため、テーマが的確に伝わるかの確認にも、多くの人に協力していただきました。本当にたくさんの方々に支えられて作品を制作することができています。

いつも手を貸してくれる母、先生方、モデル、そして着想をくれたお客さまなど、本当に感謝してもしきれません。

発想力とセンスが武器

―よい作品を作るためのコツを教えてください。

たくさんの人と交流してさまざまな価値観に出会うことが秘訣(ひけつ)です。また、映画や絵本、自然風景などさまざまな形態の美に触れることでも、引き出しを増やすことができます。

撮影者の清水菜生さん

機材にこだわることも一つの手法ですが、発想力とセンスは何よりも武器になると思います。