金森のの子さん(福井・鯖江高校3年)の写真作品「刺激が強すぎる」を紹介します。口元だけでなく目までマスクで覆った生徒たちが並ぶ教室を撮影したこの作品は、全国高校総合文化祭(紀の国わかやま総文2021)の写真部門で優秀賞(読売新聞社賞)を受賞しました。どのように撮影したのか聞きました。

刺激が強すぎる(第45回全国高等学校総合文化祭 紀の国わかやま総文2021 写真部門優秀賞)

コロナ前後で私たちの世界は変わった

―作品のテーマを教えてください。

コロナ禍をテーマにしました。今はマスクをするのが当たり前になっていますが、コロナがはやる前はマスクをつけないのが当たり前でした。私たちが当たり前だと思っている日常が、あっという間に変わってしまうのだと思うと、少し怖くなります。

コロナの前と後では、私の見る世界はマスクという見た目以上に、気持ちの中で大きく変わってしまったように思います。この作品を見て感じることは人それぞれだと思うので、いろいろ想像してもらえるとうれしいです。

―こだわったり、工夫したりしたポイントは?

あえて白黒にしたことです。カラーにすると背景やいろいろな小物に目が行きマスクが目立たなくなってしまいます。白黒にすることで白いマスクが際立ち、インパクトのある作品になったと思います。

初めての一眼レフに戸惑い…

―何が難しかったですか?

撮影した当時は一眼レフカメラを使うのがほぼ初めてでした。どのように撮ればいいか分からず、戸惑いながら夢中でシャッターを切りました。

―撮影中のエピソードを教えてください。

クラスメートに手伝ってもらいました。顧問の先生の授業の最初の時間を借りて撮影しました。

撮影した時期は、1年生のコロナによる休校が終わってしばらくした頃でした。まだクラスの人たちのこともあまりわからず、撮影中はとても静かで私の方が緊張しました。しかし、その緊張した雰囲気が逆に良かったのだと思います。クラスに慣れた今ではこの作品はできなかったかもしれません。

―よい作品を作るためのコツを教えてください。

とりあえずやってみること、そしてたくさん撮影することだと思います。

少しずつ構図を変えながら撮影することで作品の表情が変わっていきます。写真は一瞬を切り取ります。その一瞬を逃さないように何枚も写真を撮り、良い瞬間を切り取れるように繰り返し挑戦することだと思います。