全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)は3月1日、昨年秋に大学生の生活や考えを探った「第57回学生生活実態調査」の結果を発表した。コロナ禍2年目に入り、前年より大学生活を充実していると感じる学生数は回復しているが、大学入学時に十分な支援を受けられなかった現2年生の「しんどさ」が目立っている。(西健太郎)

調査は、2021年10月から11月にかけてインターネットで実施し、全国の国公私立大学30校の学部学生1万813人の結果を集計した。

「充実度」1年生は急回復、2年生は最も低く

大学生活を「充実している」「まあ充実している」と回答したのは78.6%。20年(74.2%)を上回ったが、コロナ禍前の19年(88.8%)の水準には達していない。1年生は80.6%が充実していると回答し、20年(56.5%)から急回復した。一方で、2年生で充実していると答えたのは70.8%にとどまり、20年(77.1%)より低下。4学年中で最も低かった。

「充実していない」と感じる2年生のうち「友達ができない、対人関係がうまくいなかない」ことを気にかかっていると回答したのは49.6%。20年の27.5%から大幅に増加した。コロナ禍に入るタイミングで入学した2年生の中には、友達作りの機会がなく、大学生活が充実していないと感じている人がいることがうかがえる。

充実度は、学生生活が「充実している」「まあ充実している」と回答した学生の割合の合計。1年生の充実度は前年より回復したがコロナ前の水準には及ばない。2年生は4学年で最も低い(全国大学生協連が21年秋に実施した「学生生活実態調査」による)

サークル加入率も2年生は低下

関連してサークル加入率をみると、1年生は72.6%が加入し、20年(48.7%)から大幅に増えたのに対して、2年生の加入率は62.1%と、2年連続で下がった(19年は74.1%、20年は69.9%)。全国大学生協連学生委員長の角田咲桜さん(茨城大学卒業)は「サークルや部活動でできる人とのつながりが希薄化している。1年時にはサークル活動ができず、2年時には入るタイミングを見失っている学生もいる」と話す。

1年生のサークル加入率は前年より回復したが、コロナ前の加入率には達していない。2年生は前年調査時(この学年が1年次の秋頃)より加入率が高くなったが、コロナ前の数値を下回る(全国大学生協連が21年秋に実施した「学生生活実態調査」による)

「友達がいない」「もう諦めている」

調査の自由記述欄でも、2年生から「今さらサークルに入りづらい。周りでサークルに所属している人が少ない」「サークルが出来ず、友達がほとんどいない、もう諦めている」「受験期もあわせると約3年、本当に何もなく、悔しい。就活などで忙しくなるので、もう学生生活は諦めている」など、つらさを訴える声が寄せられた。

登校日数平均2.8日、対面機会限られ

1週間の登校日数は平均2.8日と前年より0.8日増えたが、19年の4.4日の6割程度だ。学生同士対面する機会は大幅に減ったままとみられる。大学ごとの差が大きく、平均4.4日の大学があった一方で0.4日にとどまる大学もあった。

全国大学生協連の中森一朗専務理事は、2年生の充実度の低さについて「21年の入学者には、新学期に大学による手厚いケアがあった。20年入学者は人とのつながりに苦戦したまま、来年は就職活動を迎える。何ができるか考える必要がある」と話す。