私は現在、中学校教員となるために教育学部で学んでいます。「大学で学んだ内容を実際の教育現場でも生かしたい」との思いが芽生え、今年5月から個別指導塾の講師としてアルバイトを始めました。働き始めて半年を迎えて実感している、塾講師のやりがいや大変さなどを紹介します。(かんちゃん・大学1年)

個別指導塾で生徒に授業、参考書も研究

私の勤務先は中学3年生までお世話になっていた個別指導塾です。当時、勉強の楽しさ・思考力を鍛える大切さを教えてくださった講師に憧れながら働いています。

授業後、保護者への報告文書を記入。授業だけでなく、丁寧なアフターフォローを心がけている

塾講師の主な仕事は、何と言っても授業をすることです。私の塾では、個別指導の強みを生かして、学校の復習・定期テスト対策・過去問演習など多彩なメニューを展開しています。

最初のうちは初めて担当する生徒がほとんどで緊張続きでしたが、今では生徒とも打ち解けてきました。最近は塾の教材だけに頼らず、自分で複数の参考書を研究するなど、工夫を積み重ねています。

塾講師には、模試やテスト前の学習会などで生徒と関わる機会もあります。彼らの頑張っている姿を目にすると、「責任持って授業をせねば」と気が引き締まります。

性格も学力も違う生徒に合わせて教える

生徒が「前よりもテストの点数が上がりました!」「先生のおかげで成績が良くなりました!」などうれしい報告をしてくれると、「この仕事をしていて良かったなぁ」と思います。生徒がどんどん力をつけて成長していく過程を、そばで支えられることに塾講師のやりがいを感じています。

一方で、この仕事は想像以上に思考力を要する仕事です。毎回の授業方針を入念に考えなくてはならないところに大変さと責任を感じています。

学力や性格は生徒によって大きく異なるため、同じ内容を教えるにしても最適な指導法は変化します。

その日使う教材をコピー。授業開始10分前には授業準備を終わらせ、生徒とのふれあいを大切にしている

少しでも心に残る授業がしたい

私は、少しでも上質な授業をするために「どうしたら生徒の心に残る授業になるか」「どのような順序で指導すれば分かってもらえるか」といった答えのない問題を授業直前まで考えています。

これまでの授業で得た経験や大学での学びをフル活用して、自分なりに答えの無い問題への最適解を出すよう努めています。これは大変な作業ですが、生徒の成長につながると思うと活力が湧いてきて、楽しんで取り組めています。

気持ちを察する力、わかりやすく伝える力がついた

「塾の講師」として働くとなると、身構えてしまい「自分の技量で務まるのだろうか」などと不安になる方もいるでしょう。しかし、この仕事には、不安を忘れられるほどのやりがいがあります。

いつの時代においても「人は人によって育てられる」と私は考えています。AIが導入されつつある今でも、塾講師は必要な職業だと感じます。私は塾講師をしてから、他者の気持ちを察する能力、物事を分かりやすく伝える能力が身に付きました。塾講師としての経験をかけがえのない財産として、これからの人生を歩んでいきたいです。