データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「数学Ⅰ」の問題分析は次の通り。
試行調査でも見られたような現実事象の問題や対話形式の問題が出題された
昨年までのセンター試験の出題を踏襲しつつ、試行調査でも見られたような日常生活に関わる題材や対話形式の問題が出題された。また、第2問のように具体的な数値ではなく、一般的に条件が変化したときに適するものを選ぶ問題形式は目新しい出題であった。昨年センター試験よりやや難化。
大問数・解答数
昨年のセンター試験と同様、大問数は4ですべて必答。
出題形式
文章選択や図・グラフ選択、語句選択などが例年より多く出題された。昨年と異なり、第2問に図形と計量が出題され、第3問に2次関数が出題された。また、第3問の2次関数が中問形式で出題された。
出題分野
数学Iの全分野から出題。
問題量
昨年センター試験と比較して増加。
難易
昨年センター試験よりやや難化。
大問別分析
第1問「数と式」 (20点・解答数10) 〔1〕は数学I・Aと共通
〔1〕は文字定数cを含む2次方程式の解の問題。(1)、(2)はcの値を与えたときの方程式の解、および、解に関する整数部分を求める問題。(3)は方程式が有理数の解をもつための整数cの条件について、対話形式で誘導している。〔2〕は集合と集合の関係や集合と要素の関係、必要条件・十分条件の理解を問う問題。(1)はベン図を問う問題であり、(2)はそのベン図を利用して具体的に考えればよい。
第2問「図形と計量」 (30点・解答数15) 数学I・Aと一部共通
三角形の外側に各辺の長さを1辺とする3つの正方形について、正方形の面積や、各正方形の間にできる三角形の面積や辺の長さを考える問題であった。(5)、(6)の外接円および内接円の半径を考える部分では、三角形の角の大きさの変化に対応した辺の長さの変化を考えることがポイントであった。
第3問「2次関数」 (30点・解答数12) 〔2〕は数学I・Aと共通
〔1〕は与えられた2次関数のグラフを平行移動させ、そのグラフとx軸との交点の個数を考察する問題。(4)の2≦x≦6でx軸と交点を2点もつときの頂点のy座標の条件を求める問題は、不等式の扱いに戸惑う受験生も多かったであろう。〔2〕は、陸上競技のストライドとピッチに関する現実の事象を題材にした問題。最終的に、100m走のタイムが最もよくなるストライドとピッチを2次関数を用いて考察する。(1)は、問題文で示された定義に従って、100m走のタイムをストライドx、ピッチzで表せばよい。(2)は、まずxとzの関係を1次式で表し、それを誘導に従いyの式に代入することが求められた。yはxの2次関数となるので、最後はyの最大値とそのときのxとタイムを求めればよい。
第4問「データの分析」 (20点・解答数10) 数学I・Aと一部共通
各産業の就業者数割合について、ヒストグラムや、箱ひげ図から読みとれる情報をもとに箱ひげ図とヒストグラムの関係、相関についての正誤を問う問題。計算によって数値を求める設問は出題されず、データを正しく読みとる力が問われた。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2020年度 35.93点
- 2019年度 36.71点
- 2018年度 33.82点
- 2017年度 34.02点
- 2016年度 36.48点