9月、3人1組の高校生チームが学校対抗でクイズ力を競う「高校生クイズ2019」の全国大会が日本テレビ系で放送された。2527組がエントリーし、洛北高校(京都)の吉良拓也君、小田涼一郎君、德田陽向君の1年生トリオが、同校を5年ぶり2度目の優勝に導いた。

 

全く対策せず

優勝メンバーの3人は、同校併設の中学校でテニス部に所属していた部活仲間だ。現在も最寄り駅で待ち合わせて3人一緒に登校するほど仲が良い。「何も言わなくても2人の考えが分かる、気心の知れたメンバー。そんなところも結果を残せた要素の一つだと思います」(吉良君)

3人は、中3の時に競技クイズにのめり込むようになった。高校入学後、気軽な気持ちで「高校生クイズ」に応募した。小田君と吉良君は同校の文化研究部クイズ班で活動しているが、同大会に「全く対策せずに臨んだ」(小田君)。テレビ収録のある全国大会独特の雰囲気に飲まれることなく、競技を心底楽しんだ。

競技はアイデアや生活の知恵、想像力を問う「地頭力」を試される。

準決勝は、制限時間内に自作の道具で宙に浮かぶ200個の風船を割らずに落とす競技。ここでは、幼い頃にピタゴラ装置づくりに没頭していた工作好きな德田君が活躍。「風船を落とす道具づくりに必要な材料がすぐに浮かびました。ほぼ想定どおりの道具を作れたんです」

300キロのモアイ像運ぶ

モアイ像運びに奮闘する洛北高校(日本テレビ提供)

3校による決勝戦では、300キロ超のモアイを10メートル運ぶ課題に挑んだ。実際のモアイの運搬方法を知っていた同校の3人は「ロープ」をモアイの頭にかけ、左右から引っ張る歩行運搬を試みたがビクともしない。「(大会用のモアイは安全面を考慮して)下部に重心があり、このやり方では全然動かない。でも代案があったので焦りはなかった」(小田君)

そこで「重い石を運ぶなら」(小田君)と、地面にロープを敷き、その上にモアイを乗せて移動させるアイデアに切り替えて見事成功。バドミントン部を掛け持つ吉良君は、「それでもモアイは重い。運動部で鍛えた筋力も役立った」と笑う。優勝後、友人たちから祝福を受けた。「お菓子をたくさんもらいました(笑)」(吉良君)

大会2連覇目指す

決勝戦でも対戦したAICJ高校(広島)の2年生トリオと親睦を深めたという。「学年が一つ下の僕らを気にかけてくれ、たくさん話し掛けてもらいました。めっちゃ明るくて面白い人たち!」(德田君)。準決勝直前には、2校のメンバー間で「そろそろ敵やで」(AICJ高校)「ライバルですね」(洛北高校)と、軽口を交わして笑いあった。「実は、冬休みにみんなで遊ぶ計画を立ててます。僕は今すぐにでもAICJ高校のみなさんと会いたい」(吉良君)。来年は同じメンバーで大会2連覇を目指す。吉良君は「3年生になったAICJ高校のみなさんとも全国で戦いたい」と、「高校生クイズ」最高峰の舞台での再会に思いを馳せた。(中田宗孝)