「可動式ウルトラ警備隊秘密基地」を制作した5人。前列左から中原君、長谷川君、廣瀬君。後列左から池端優輝君、遠藤奨大君(ともに1年)

城北埼玉高校模型部が「ジオラマ甲子園」のグランプリを受賞した。個性豊かな部員が自由にものづくりに取り組んだ成果だ。 (文・写真 野口涼)

「ウルトラセブン」題材に

高校生がジオラマ作品の出来栄えを競う、「ジオラマ甲子園」ともいわれる「ハイスクール国際ジオラマグランプリ」。第4回となる今年は3月下旬に静岡県浜松市で開催された。同部からは2チーム(各5人)が出場し、それぞれ「グランプリ&一般投票1位賞」「審査員(タミヤ)賞」を受賞した。

グランプリを受賞したのは「可動式ウルトラ警備隊秘密基地」。幅500㍉×奥行き500㍉×高さ㍉500の規定サイズを目いっぱい使って、1960年代の特撮ヒーロー番組「ウルトラセブン」に登場する「ウルトラ警備隊」の本部基地を再現した。リーダーを務めたのは長谷川孝輔君(2年)。前回の大会での経験を生かし「可動ギミック」「自然表現」「メカ」の3つの要素を取り入れることでグランプリを狙った。

「50年前の未来」こだわり

こだわったのは格納庫のディテールだ。内部の壁にプラモデルのパーツを貼って作り込んだ。「目指したのは『特撮のセット感』を出すこと。50年前の人が考えた未来のテクノロジーは、現実の未来である今とは違います。そこに面白さを感じて、あえてリアルとウソの間を狙いました」(長谷川君)

格納庫で光るLEDとエレベーターの配線に苦心の跡がみえる

また「スイッチを押すと山頂部が開き、中から戦闘機が上がってくるようにしたい」という長谷川君の注文には、機械が得意な廣瀬元輝君(3年)が応えた。苦心の末、エレベーターの滑車の仕組みを使うことに大会直前に成功。自然表現などを作り込む時間が足りず、完成は会場に入ってからになったものの「できた瞬間、勝った!と思いました」と中原敦也君(3年)は振り返る。

格納庫の表現は「特撮のセット」そのもの

 

折り紙・ロボット…自在に活動

部の特徴は、守備範囲の広さだ。普段の活動は個人制作がメーンで、プラモデルやジオラマはもちろん、折り紙、切り絵、レゴロボット、輪ゴム銃など何を作ってもオーケー。「年5回の部内コンテストで、技術と発想を競い合っています」と、顧問の神門清貴先生は話す。文化祭の共同制作では4㍍の恐竜骨格模型や、ほぼ等身大の段ボール製戦車の制作にも取り組んだ。部員の数だけある得意分野を伸ばすことが、共同制作での大きな強みになっているようだ。

【部活データ】
中高一貫校のため中学生と一緒に活動。2013年に同好会から昇格した。普段の活動は週3日で、基本方針は「作るものは自由」。部員16人(3年生5人、2年生3人、1年生6人、中学2年生2人)