鉄道模型作りに、情熱を燃やす高校生たちがいる。7月に東京ビックサイトで行われた、鉄道ジオラマの出来ばえを競う「第11回全国高校鉄道模型コンテスト2019」で披露された力作を紹介する。(文・写真 中田宗孝)

「特別な場所だから…」校舎と西武線の駅を表現

白梅学園清修中高一貫部(東京)鉄道模型デザイン班は、上下2段構造の鉄道ジオラマ作品「私たちの青春」を約2カ月かけて制作した。上段は自分たちが学ぶ校舎を、下段には同校の生徒が利用する西武国分寺線鷹の台駅周辺の通学路を作り込んだ。

制作チームの総監督を務めた川田新菜さん(2年)は、「校舎や通学路は、私たちの青春がたくさん詰まった特別な場所。鉄道ジオラマとして作ってみたいと思いました」と制作動機を話す。

モジュール制作チームをまとめた川田さん(奥)と制作メンバーたち

机もピアノも全部手作り

校舎は1/150スケールで精巧に作りあげた自信作だ。校舎外観の再現度だけでなく、職員室に設置されるパソコンや音楽室のピアノなど、室内の備品も画用紙で丁寧に再現した。「教室の机は画用紙とホチキスの針を組み合わせて作りました。机の数も教室に置かれている実数と揃えているんです」(川田さん)。

作品には「雨あがりの18時」と時間設定がある。制作した校舎のまわりに目を凝らすと、道路や芝生の部分に雨あがりを表現した光沢が施されていることに気がつく。「梅雨期の学校周辺の雰囲気がとってもきれいなんです」(川田さん)

雨あがりの夕刻の同校周辺をジオラマで再現した

0.1ミリのズレも見過ごさない

中高生班員7人で制作に励んだ。制作時は「まぁいいか」という思いを捨てることを心掛けたという。「例えば、机のサイズが他の机と0.1㍉でもズレたら作り直し。『まぁいいか』と妥協しませんでした」(川田さん)。来場者から見づらい作品の裏側の箇所は、手鏡を使って自分たちの作品を紹介した。

同校は「モジュールレイアウト部門」優秀賞を受賞。また、細やかな作り込みが多くの来場者から高く評価され、来場者の投票によって決まる「来場者が選ぶベストワン賞」も獲得した。

自分たちの青春が詰まった校舎