鉄道模型作りに、情熱を燃やす高校生たちがいる。7月に東京ビックサイトで行われた、鉄道ジオラマの出来ばえを競う「第11回全国高校鉄道模型コンテスト2019」で披露された力作を紹介する。(文・写真 中田宗孝)

瀬戸内の夕暮れをイメージ

同校3年ぶり2度目となる最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞した部員たち

広島城北高校(広島)鉄道研究部の作品「瀬戸内の夕景」は、山陽本線が走行する瀬戸内海沿岸の夕暮れ時の風景を直線レイアウトの中に表した。「瀬戸内周辺は有名な観光地ですが、僕らが目指したのは瀬戸内の日常風景。作品を通じて、電車やバスを使って家に帰る瀬戸内の人々の暮らしぶりを伝えたかったんです」(森本蒼真君、2年)

昨年11月、広島県尾道市や鞆の浦(広島県福山市)などに現地調査へ赴き、作品づくりの参考にした。「現地を実際に歩いたことで、古民家や細い路地といった瀬戸内海沿岸の特徴的な景色を忠実に再現できた」(森本君)。車道より高い位置を走る電車、波打つ瀬戸内海のジオラマは、来場者から好評だったという。「中国地方出身の方から『尾道の地形をよく再現してるね』と声をいただき嬉しかった」(西村希君、1年)

11月にドイツで作品発表

瀬戸内の夕刻の日常風景を見事に切り取った

約4カ月で完成させた作品は、1校のみに与えられる「モジュールレイアウト部門」最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞。部長の岡野颯太君(1年)は、「今は部員全員、喜び以上に驚きのほうが大きい」と話す。受賞作品は、11月にドイツで開催する欧州最大級のNゲージの祭典「ヨーロピアンNスケールコンベンション2019」に出品される。森本君は、「海外の人に瀬戸内の日常風景の良さをアピールしたい」と、希望を膨らませた。

なお、来年の「第12回全国高校鉄道模型コンテスト2020」は、毎夏の開催から日程が変更され、11月22・23日に実施される。