8月の全国高校総体(インターハイ)弓道女子団体で、厚木(神奈川)が初出場ながら準優勝に輝いた。出場した全員が3年生。単なる仲良しグループではない。互いに指摘し合って技術を磨き上げた。(小野哲史)

準優勝を果たした団体戦メンバー

昨年度は、インターハイにつながる県大会で、上位10校を決める1次予選さえ突破できなかった。試合に出ていた橋本千智は「やりたいことができず、悔しかった」という思いをバネに雪辱を誓っていた。

基本に忠実に

とはいえ、練習内容を変えたわけではない。的中率を上げるには数多く弓を引くしかない。各自で考えたり、チーム内で指摘し合ったりして、何度も基本に戻りながら練習を進めた。

チームとしては、体配(起立や礼、弓を引いて矢を放つまでの準備動作)をそろえることを意識した。滝沢聡美は「それによって自分たちに一体感が生まれ、『いつも通りだ』と落ち着ける。相手に対して『強そうだ』という印象も与えられる」と語る。

大会に備えて朝に慣れる

多くの部員が、自由参加の朝練習にも積極的だった。「大勢いるので、放課後は弓を引ける本数が限られる」(橋本)という理由もあったが、滝沢は「大会は普通、朝早くから行われる。頭や体がまだ働いていない朝の状況に慣れておきたかった」という。

その姿勢は他の部員にも波及した。進学校であり、放課後の練習後に塾に通う部員も少なくない。樋口葉月は「以前は勉強中に弓道を考えたり、練習中に勉強のことを考えたりしていた。これでは駄目だと思って、今やっていることに集中するようにした」

インターハイで競技に臨む部員たち(学校提供)

仲間の応援動画が支えに

迎えたインターハイは「3年生にとって最後の大会。結果よりも自分たちのやるべきことをやり切って、気持ちよく終わろう」(滝沢)という境地だった。メンバー入りできなかった他の3年生部員が送ってくれた応援動画や、顧問が一つ一つにメッセージを書いてくれた小分けのチョコレートも、部員の背中を力強く後押しした。

決勝は13-14という僅差で敗れたものの、準優勝という結果に全員が満足感を覚えている。ただ、それ以上に「自分自身と向き合うことができた」「大切な仲間ができた」という3年間を過ごせたことに胸を張った。

【TEAM DATE】
1957年創部。部員32人(2年生男子6人・女子4人、1年生男子10人・女子12人)。3年生男子2人・女子10人は引退。練習は月~土曜。日曜日は基本的に休み。OBの外部コーチに週2回指導を受けている。