受験で100%の力を発揮するには体調管理が大切。川村内科診療所(神奈川)院長の川村昌嗣先生にアドバイスをもらった。(山口佳子)

Q. 試験前に風邪をひいてしまいました。早く治す方法はありますか?

 

A. 喉や首を冷やさない

早く風邪を治すには、体に侵入して増殖しているウイルスをいかに早くやっつけるかが重要です。ウイルスをやっつける際、白血球の中にあるリゾチウムなどの酵素を使います。酵素は39℃前後が一番効率良く働いてくれるので、主にウイルスと戦っている喉・首・上気道を高温に維持するかが早く治る秘訣(ひけつ)になります。

マスクをしたり、タオルを首に巻いたり、ネックウオーマーをして、首や喉を冷やさないようにする。体が寒いと感じないように厚着をしたり、ひざ掛けやレッグウオーマーも使ったりしましょう。

ウイルスとの戦いに集中してエネルギーを使いたいので、テレビを見たり、スマートフォンを操作したりしないで、ひたすら目をつむって横になって寝ていることも重要です。

汗をかいたらこまめに着替えよう

一番良い方法は、厚手の靴下をはき、厚手のパジャマを着て、首だけでなく足首、手首が冷えないようにし、なおかつ毛布などを余分にかけて布団の中に入ります。それでも寒気を感じるようなら電気毛布で温めましょう。体の戦いが有利になってくると、高い熱が不要とからだの中枢が判断するので、汗をかいてきます。

しかし、ここで冷えすぎるとウイルスの増殖が再度起こってぶり返してきます。汗をまめに拭き、「ぐっしょりしたな」と感じたらすぐに着替えられるように、2~3回分のパジャマと下着の替えを枕元に置いておきましょう。脱水にならないための水分補給も温かい飲み物で行いましょう。水筒に白湯(さゆ)やしょうが湯、スポーツドリンクなどを、すぐに飲める温度に温めておいておくのもよいでしょう。

私の場合、喉の調子がちょっとおかしいなと思ったら、いつもより多めにパジャマや布団を着こんで寝て、汗を出すことを心がけます。汗が出たらパジャマを着替え、体をきちんと拭きます。さらにさゆなどで水分補給。これを一晩に2~3回繰り返せば、翌朝起きた時はすっきり。これで、何年も風邪らしい風邪はひいていませんよ。

うがいにコツがある

傷のない手の上に汚れたものを載せても問題ありませんが、傷があると痛がゆくなってきますよね。同じように口の中の粘膜が痛んでいる時に、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。粘膜を痛めないように、寝るときにマスクをつけたりネックウオーマーを鼻の上まで上げたりして、口の中の乾燥を防ぎましょう。

喉に付着した菌やウイルスが体に侵入する前に、うがいでしっかり洗い落としましょう。風邪のひき初めは、喉の奥の横面が痛くなってきます。この面を洗うためには、斜め上向きになり、喉の違和感が出てきたらその角度を維持しましょう。「ガラガラ」の声の高さを変え、息が少し苦しくなるくらい左右2回ずつうがいをしましょう。ワンフレーズ、好みの歌を口ずさむのもよいでしょう。

 

川村昌嗣先生

(川村内科診療所院長)
かわむら・まさひで 内科医。慶應義塾大学医学部卒。予防医学にも詳しい。